バイオメンター動物病院
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副腎疲労に関して


「何となく調子が悪い」という事で相談に来られる方が多いです。

他の獣医で血液検査や精密検査を行ってもらっても、異変らしき数値が出てこないので、

「気のせい」という獣医の診断が出るそうです。

昨日も、私達の診療所に訪れた飼い主の女性達の話では

「私達の「何かある」という不安に真面目に対応してもらえない。」

と言われてました。

他では診察をするのか分かりませんが、私達はご家族から詳しい日常の話を聞き原因追究の為のヒントを得る様にし てます。

何故ならそこから答えが出るケースが殆どだからです。

初めて会う、何となく調子の悪いこの子を毎日観察されているのはご家族ですから、

「我々は専門家だから何でも知ってる」という様な傲慢な態度で観察するのではなく、

動物達が伝えてくる状態にしっかり耳を傾ける事を心かげてます。

獣医は大学で学んだ病気や薬剤の知識をもとに、現れた症状や検査結果でそれに合う病名を診断しますが、

病状がない! 血液検査も精密検査でも正常!

というケースでは明確な病名は出てこないだろうと思います。

だから飼い主に「なにもない、気のせいだ」という言葉が発せられます。

しかしその後、私達の診療所にセカンドオピニオンで来られたケースでは、やはり何らかの異変がある事を発見しま した。

その中で一番多かったのが副腎の疲労です。

副腎は様々な重要ホルモンを分泌する臓器で、そのホルモンは血圧、血糖、水分・塩分量など体のバランスを一定に 保つために必要なものです。

副腎ホルモンの分泌が低下すると、

・食欲低下
・体重減少
・気力低下
・疲労感
・吐き気
・下痢
・便秘
・脱水
・皮膚炎
・外耳炎
・自己免疫疾患
・低血糖

など、個体によって体に現れる症状が違っています。

その原因として考えられるのが
・ストレス
・早過ぎた避妊や去勢手術
・栄養不足

という様に、身体的、精神的、心理的、栄養的な面でバランスを崩すことで引き起こされます。

ヒトの世界では、副腎機能低下は〝疲労〟と言われる症状を起こし、

・非アジソン病副腎機能低下
・無症状性副腎機能低下
・神経衰弱症
・副腎神経衰弱症
・副腎無気力症
・副腎疲労症候群

などと、多くの病名が付けられていましたが、

最近はこれらを総称して、

「アドレナル・ファティーグ」

と定義される様になりました。

私達の臨床経験では、動物達にもこの「アドレナル・ファティーグ」が起こっていると言えます。

副腎から分泌されるコルチゾールの様なホルモンの原料は、主にコレステロールや、ビタミンC、ビタミンB、マグ ネシウムなどですが、これらの栄養素が不足すると、副腎ホルモンを作れなくなり副腎疲労の症状につながります。

また幼い時期に避妊や去勢を行っている個体は、術後も体が性ホルモンを必要とするため、その役割を副腎が担いま す。しかし、栄養素不足や過剰なストレスが重なることで副腎疲労が起こって来ます。

人間は昼行性ですので、ホルモンの分泌が最も活発になる時間帯が休息をとる夜で、この時間帯に休息を取れない様 な場合にホルモンの分泌量が減り副腎に疲労が蓄積されると考えられていますが、

犬が夜行性、また猫は薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)ですので、昼間にこのホルモン分泌が行われている可能性 もあるんじゃないかと話してます。

犬は1日に平均12時間から14時間、多くて18時間の睡眠を必要とし、

猫には一日に平均して13時間から16時間、多くて20時間の睡眠を行うのが一般的です。

しかし犬の様に、人との生活に密着した動物は、人間と一緒に昼間も活動的に行動することで、十分な睡眠を取れ得 ないまま疲労が徐々に溜まっていく状態となり、何とか体を動かすためにストレスホルモンが過剰に分泌されます。

その睡眠不足や栄養不足のストレスを緩和し、体を回していく為に副腎ホルモンを過剰分泌し、疲労によりそれが不 足し出すとストレスへの耐久性までも弱くなり、結果としてストレスを更に溜め易い体にしてしまうのは犬や猫も同 じです。

しかし上記の事例にもある様に、現代の獣医学ではこの動物達のアドレナル・ファティーグへの意識が低い(殆とな い)ため、

獣医学書にある症状もなく、
全ての検査も異常なし

ということに囚われ、

飼い主の「何となく調子が悪い」という訴えを真剣に受け止めないまま動物達の疲労が悪化し、

本格的なアジソン病や甲状腺機能低下症、自己免疫疾患や、消化器官の疾病、重症な低糖症などに発展したケースが 多いといえます。

獣医が病状から病名を述べる段階になる前に、すでに動物達の体には異変が起こっています。

「何かがおかしい」と気がついた時に、家庭内で対処できる知識をぜひ皆さんにも身につけて頂きたくことで、病名 のつく状態になることを回避できます。

🔸私達が行う副腎疲労へのケア
📍バランスと取れた生食(手作り食)への切り替え
📍フード食だった場合は低糖症にならない様徐々に切り替える
📍良質な動物性脂肪分の十分な摂取
📍副腎入りサプリ
📍コルチゾールのホメオパシー希釈

血中コルチゾールが低い場合に酢酸コルチゾン錠剤を処方しますが、上記のケアを併用し適用量を最小限に抑えま す。




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