バイオメンター動物病院
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下痢の時の対策


イ ンスタの動 画のフィン君もタクマ同様、生食派の仔犬です。こうして小さい頃から完全な形で提供されるタンパク質や破壊されていない栄養素を摂取する事で、病気に勝て る身体が出来上がり自然治癒力が備わります。胃の中に少々の異物が侵入しても生食派の犬や猫が持つ強酸性の胃液であっという間に抹消されます。この段階で の防衛反応がしっかりしていると下痢になるという事が非常に少ないです。また腸まで辿り着いたとしても腸の中の酵素や善玉菌でさらに解毒が行われ病原体を 駆逐します。
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下痢は、嘔吐と同じように体内に侵入した異物を排泄する防衛作用の一つですので止めてしまえば良いというものでもないというのは皆さんもご存知かと思いま す。特に病原体が原因である感染症による下痢の場合は体内に留めておくと腸内環境に悪影響を与えます。

便は大腸内にて水分やミネラルを吸収された後に排出 されるのは普通ですが、何らかの原因で水分を多分に残したまま便意を催して排便されるのが下痢です。重症な場合は、逆に腸壁から腸管内に水分が排出されて 下痢になったりもします。その何らかの原因が異物の侵入であったり食物不耐性の消化不良であったり、ストレスによるものだったり、また単に老廃物が排出 (デトックス)であったりするわけです。
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下痢の電話相談があった場合、まず動物の全身状態をお聞きします。元気がない場合は直ぐに診察に来て頂きますが、脱水症状も嘔吐もなく下痢である以外は食 欲もあるし元気だという場合は、排泄作用をスムーズにサポートするため半断食していただきます。また異物の排出を下痢にならずともスムーズに促す為に食用 活性炭を飲ませるアドバイスも出します。
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十分な水分補給を行いながら鶏ガラからとったスープに鶏肉をほんの少し混ぜ塩を入れた食餌を与え、二、三日後くらいから徐々にいつもの食事を始めてもらい ます。一過性の下痢であればこういった家庭での応急処置で回復することが多いです。それでも下痢が続く場合に診察に来ていただきます。血便が出るという事 もありますが、新鮮な血液であれば肛門付近からの(下痢の勢いで血管が切れた)出血である場合が多いので、その辺りも慌てず様子を見ながら飼い主さんに判 断して頂きます。
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私たちの診療所には定期的に再発する慢性の下痢でセカンドオピニを兼ね訪問される飼い主さんが多いです。抗生物質治療、整腸剤、ステロイド治療、駆虫薬治 療、消化酵素治療、考えられるすべての治療を行ってもある時期になるとまた下痢になる。血液検査や内視鏡検査などでも原因がわからず過敏性腸症候群の病名 がつけられ、薬で改善しない場合には先天性とまで診断され治るどころか増える薬の副作用で別の疾病が発生し「最後の望み」というお手上げ状態で来られま す。
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まずお尋ねするのがどんな食餌を与えているかです。穀物や添加物を含んだドライフードの場合は、生肉骨内臓だけをベースにした市販の生食餌(ローフード) に切り替えていただきます。胃内のpHがアルカリ性に傾いている場合があるので最初は生食を加熱し、プロビオティックス(特に乳酸菌)やコロストラム(免 疫をアップさせる初乳免疫ミルク)でサポートしながらデトックスを兼ねて徐々に切り替えます。

生食にし始めた時点でさらにひどい下痢になる事があります が、これはデトックスの一環ですので水分補給をしっかり行いながら継続してもらうと2、3週目から下痢が止まり始めます。私達の経験では60~70%の ケースで悩んでいた(他の獣医にとっては)原因不明の慢性(定期的に起こる)下痢が解消されました。こういった場合に下痢の症状を調腸剤や抗生物質で対症 療法だけ行っても下痢の根本原因である「合わない食事」を改善しない限り再発します。また慢性の消化不良や腸炎が進むと別の疾病まで出てくる恐れもありま す。
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ローフード(生食)に切り替えても硬めの便にならず量もまだまだ多すぎるというケースもありました。牛肉、ラム肉、サーモンなどがアレルゲンであるケース です。そ の場合はそのアレルゲンを餌から取り除いた生食メミューにすることで解決する事が多いです。

また診断で見落としがちなのが膵臓です。生後数ヶ月の仔犬でも まだ膵臓がうまく機能してない場合があり、こういったケースではローフードと一緒に生の膵臓を餌に混ぜていただく事で改善する場合は多いです。生膵臓の代 わりに膵臓(Pancreas)を含んだサプリメントを処方することもあります。消化酵素自体を与える方法もありますが、私達の経験では膵臓自体を与えた 方が効果を発揮しました。
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他にも様々な原因で下痢が慢性化することもありますので、上記の療法は「合わない食事が根本的な原因」であるのかどうかを確認する治癒への第一ステップだ と思ってください。


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