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ストレスと摂食障害 ストレスによる摂食障害はどの動物にも起こり得ます。ストレスは自律神経系、内分泌系そして免疫系に影響を与え身体のホメオスタシスを崩し種々の病の原因 となります。ストレスと胃腸障害の記事は以前書きました。 今日は、食糞をしていた2歳になるメスの、ストレスと摂食障害の事例と家庭でできるストレス対処法です。 食事を改善した事で食糞も治り体重も安定し良い便を排泄するようになりましたが、ストレッサーが掛かると軟便になり、そのストレスで野外であれば食糞まで はいかなくとも草の暴食をしたり、自宅であれば食べ物を必死に探す行動が気になるということで再度相談に来られました。 ストレスの影響で腸内の悪玉菌が増殖し軟便となっているようですし、栄養不足による身体的な原因が精神的な面まで影響を及ぼし、最終的に行動の問題として 残ってしまったようです。 治療法を選択する為に犬の日頃の行動に関して話して頂きました。 『どこへ行っても度が過ぎるほど従順だ」というお話の内容から 「他人や他犬がどんな感情でどんな行動をとり自分にどう接して来るのか不安あり、自己防衛を含め無意識的に形成された精神的傾向から大袈裟な従順行為を行 う」 と感じました。 見た目は陽気な犬の姿でも内面的には自分に無理をしている部分があり、それを人が理解しないまま「陽気だから」と、そのストレッサーが生じる場所での保護 を行わずに継続させる事でストレス過剰となり身体的な影響が出る。構われないのもストレスですが、構われすぎもストレスとなり得ます。 飼主も思い当たる点をあると話されました。 これは、幼い子供達にも時には見られる行動ではないかと思います。パパやママ、友達がネガティブ感情を抱えない様に、子供が(自分に無理をして)何とか空 気をポジティブに保つ為、自分の心の問題を隠し無理に明るく振る舞う。 さてこのメスの場合は、更にストレッサーが感情的摂食を誘発する訳ですが、これは一つに自律神経系である交感神経系が刺激され緊張を感じ、食べるという行 為で緩和しようとする行為と考えられます。 緩和を促す副交感神経は消化器系が活動すると働き始めるため「食べる」ことで促され、さらに交感神経性緊張の抑制が促進されアドレナリンなどの分泌も抑え られるシステムです。これも一種のホメオスタシスであり、ストレスから身体を守るために無自覚的に食べることで自律神経系を調節しようとする行動の様で す。 またストレスホルモンの一つであるコルチゾールは、食欲抑制ホルモンであるレプチンを減少させるため結果として摂食が促され、コルチゾールが過剰になると 血糖値があがり血中インスリンが急増加し最終的には摂食増進に発展する事も分かってます。 さらに摂食亢進ペプチドであるオレキシンを産生するニューロンが、摂食を亢進させるようなストレス時に活性化されるそうです。 このメスは合わない食事による栄養不足で異常な食欲があり、これがまたストレッサーとなり悪循環に陥いり感情的摂食へと発展したのだと思います。 ストレス過剰で摂食が抑制される子もいます。 摂食抑制のメカニズムとしては、
またストレスから皮膚疾患が引き起こす子も診察したことがあります。 そのほか、摂食抑制の原因となり得る項目例です。
ホ メオスタシスは生理学的な意味合いだけでなく臨床心理の世界でも使われます。家族ホメオスタシスという概念で、家族という社会システムの秩序を安定させる 必要性です。動物にとれば彼等の身体や精神、心理、行動を理解したご家族の安定とサポートです。 |
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