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ユーストレス&ディストレス 動物達も交感神経と副交感神経のバランスを取れる体にす る生活習慣が重要です。 自律神経系の話で出たストレスには以下の二種類のストレスが存在します。 🔸ユーストレス (その個体にとっては良いストレス) 🔹ディストレス (その個体にとっては悪いストレス) 『その個体にとっては!』 と書いてますが、これは何がユーストレスで何がディストレス?には個体差がある 為、これだと定義するのは難しいからです。 他犬とのワンプロがユーストレスである子もいれば、実はディストレスでその夜は下痢になるという子もいま す。 🔸ユーストレス Eustress、ポジティブストレスやグッドストレスいう名前でも表現されてます。 有益で刺激的なストレスの一種で、特定の課題に立ち向かう、いわばモチベーションを高めてくれるストレスの ことを指し、気持ちをプラスに働かせるストレスのことです。 1自己課題を提示 2困難に立ち向かうために一生懸命働く 3達成感を味わう 身体に害を及ぼすようなものではなく、軽度の刺激や緊張感で脳機能を強化し認知能力を改善することが証明さ れています。 大事なことは、そのストレスは短期間であることです。 その個体にとって良いストレスで 「チャレンジ反応」 が起こった際に分泌されるのがストレスホルモンであるコルチゾールの他に DHEAというホルモンです。 DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)は若返るホルモンとも呼ばれ。
🔹ディストレス Distress、一言で言えば 「苦痛」 の様な状態で、体がストレッサーにうまく対応できず、心身が不調に陥ってしまう状態。 このディストレスを受けた時の体の反応(汎適応症候群)には,
1. 警告反応期 まず体がストレスを受けると体温、血圧、血糖が低下し神経系や筋肉の動きも減少します。これを「ショック 相」と呼びます。 その後「闘争・逃走反応」が起こり、これを「反ショック相」と言い、外的に遭遇した時の野生動物達による行 動をもとに名付けられたもので、自らの命を守るための原始的な自己防衛本能のことです。 この時同時に、交感神経や副腎の機能が高まり、ストレスホルモンが産生され、ストレッサーに対応するため、 体温、血圧、血糖が上昇し、神経系や筋肉が活発に活動し始めます。 上記の活動に血液を優先して流すため消化器官への血流が減少する仕組みです。 2️. 抵抗期 抵抗期は、ストレッサーに対し活動性を高めてバランスを保っている状態で、生体がストレッサーに対し適応力 を獲得した時期です。 この抵抗期は心身の活動が活発になるため、休息とのバランスが崩れやすくなります。 ヒトでは、この抵抗期は約1週間から10日ほど継続可能だと言われており、様々な心理的・生活環境的スト レッサーの影響を受けるため実際は複雑な過程です。 ストレッサーとのバランスを保つために、体は無理をしている時期とも見られ、 元気そうに見えていても本当はとても辛い時期である可能性が高いと言われます。 3️. 疲憊期 かかるストレッサーがさらに長期間持続すると疲憊期に入ります。 この長期にわたって継続するストレッサーに生体が対抗しきれなくなり、抵抗力(ストレス耐性)が衰え、いわ ばエネルギーが枯渇した状態を示します。 この時期は「ショック相」と同様の生体機能の低下や不適応が見られ、最終的には副腎機能低下に繋がり免疫シ ステムに悪影響を及ぼします。 ラットを用いて行った実験では、互いに関連しない多種多様なストレスに対して認められた反応が, ・副腎皮質の肥大 ・胸腺とリンパ節の萎縮 ・胃内壁の出血 という共通した 3 つの徴候であったそうです。 これは、ストレッサーの内容や質が変わっても,生体は非特異的に共通のメカニズムで応答することを示 していることになります。 この記事の最初に何がユーストレスで何がディストレスなのか?には個体差があると述べましたが、このストレ ス理論を提唱したのが心理学者であるラザルスはフォルクマンで同じストレッサーであっても、 「個体がそれをどのように捉えるのかということによってストレス反応の強度や質が変化する」 という考えです。 ここで、飼い主である私達にとって重要であるのが、認知的評価とコーピング(ストレス対処)と呼ばれるスト レッサーへの対処行動です。 認知的評価とは我が子にとってストレッサーがどのようなものかを判断することであり、コーピングはストレス 対処と訳され、 日常生活の中で体に負荷をもたらすと判断された外的・内的な刺激(ストレッサー)や、それによって生じるス トレッサーへの暴露を回避したり、 そのストレッサーに対し体のストレス反応を低減させる為に、あえて接近し訓練により抵抗力や慣れをつけさせ てあげることを指します。 この際によく使われるのが。ハズバンダリートレーニングですよね。 心と体には重要な繋がりを持っているのが動物達も同じです。 我が子の行動心理を把握し、適したトレーニングを行うことで、ストレスによる体への悪影響を減らせます。 またユーストレスの様な、体に良い刺激を与える事を積極的に日常に取り入れることで、自律神経系のバランス を保てる身体になります。 勿論、体にあう食事と薬品暴露の回避、そして回避ができない場合の臓器のサポート併用は必須です。 実は最近、このストレス反応で人間や動物が起こす 行動には、さらに別種のストレス反応がある事が分かってきてます。 それは、いたわりや、協力、思いやりを強める作用がある ❤️「思いやり・絆(tend and befriend)反応」 というものです。 これは体内のオキシトシンというホルモンが増えることで起こるとされ、 ストレスを感じたとき、他者とのつながりや絆を求め、お互いに寄り添うことで脅威や危険というストレッサーから 我が身を守ろうとする心理行動です。 すなわち危険が迫っている時に飼主と伴侶動物達が共同で保護し合い助け合う反応だと言えます。 「思いやり・絆反応」が起こると、脳の中の以下の3つのシス テムが活性化します。 1.社会的交流ケアシステム オキシトシンというホルモンが分泌されることで活性化する社会的交流ケアシステム。 他者への思いやりが強化され相手を信頼する気持ちが高まる 2.報酬システム 神経伝達物質であるドーパミンによって活性化するのが報酬システム。 やる気が強まり恐怖感情が弱まる。 3.調律システム 神経伝達物質セロトニンによって作動するのが調律システム。 知覚や直感や自制心が強くなり、理解力が増すことで、適した行動が取れるようにななる。 またこの思いやり・絆反応が起こるとことで変化する事が
カリフォルニア大学ロサンゼルス校の科学者の研究により、“周りの存在をいたわる”、ことによって脳のスイッチ が”恐怖”から”勇気”へと切り替わることが証明されたという話もあります。 動物達にとってストレスになる様な状況になった時、「一緒に戦う」という気持ちを人が持つ事で、動物達の恐怖が 勇気となり、彼らの心理や行動が良い方向に変わってくるのは臨床現場で働く私達がよく観る 飼主と伴侶動物達の 素敵な姿です。 |
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