バイオメンター動物病院
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体重の減少を抑えるには


「冬 の寒さで体重が減少しているが何を与えたら良いか?」という相談を診療所で何件か受けましたので、ここでもご参考までに記載します。

BARFの生みの親であるビリングハースト博士の食餌量に関する指導には、体重の1.5%から10%という驚くような数字の幅が提示されてます。食餌量を 決める基準は体重がメインとなりますが、「考慮すべき要因」が数多い為こうして幅をもたせているそうです。最終的には其々の環境と体質にあった食餌量を各 家庭で試行錯誤し、動物達の体と相談しながら検討するしかありません。
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また大型犬と小型犬では体重と体表面積の割合が大幅に違いますので、体重あたりの体表面積が大きい小型犬は多くのエネルギーが必要となり、大型犬よりも体 重に比例する食餌量が多くなる傾向にあります。53キロの北斗は、体重の1から1.5%の食餌量ですが、まだ成長盛りの小型犬のタクマは、ドライのオヤツ を入れても体重の4%は軽く食べます。それくらい食べさせないと痩せていきます。生食、ドライ、缶詰、手作りに関わらず食への興味が薄い子なので体重キー プには苦労してます。
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体重減少で増やす栄養素はタンパク質と脂肪です。勿論、消化がスムーズである犬猫たちを対象にしたお話ですので、疾病を抱えた子達には其々のケースに対応 する食材や量を考える必要はあります。また食餌量を計算する場合は、体重増加、減少に関わらず「目標体重」を基本に計算します。各食事の量を増やすより も、家庭内で可能であれば食事の回数を増やす方が消化の手助けにはなりますが、一回の量を増やしても軽く消化できる子も多いかとも思います。また外出した り家庭内でのエネルギー消耗活動が多い朝や昼の食事を多めにするのも方法です。

また体重減少が激しい子の場合は、野菜部分を計算に入れないようにアドバイスしてます。野菜にはビタミンやミネラルが豊富ですが、エネルギー源としては肉 食動物には適しません。私達はどちらかというと、野菜をあまり重視しないRaw Meaty Bones のTom Lonsdale(トム・ロンズデール)獣医師の意見寄りではありますが、食餌量の10%程度の野菜を与えることが問題ではなく、体重減少のある子には計 算には入れない方が早期の改善に繋がるという臨床での経験医学です。オランダでは、好んで食べるし消化してるし減量したいというケースで、適度な野菜を食 餌量の一部として計算するように助言してます。

炭水化物も体重キープの食材に上がりそうですが、できれば先ずはタンパク質や脂肪を増加させる方が良いです。ビリングハースト博士も、食餌のカロリー濃度 を増やす場合は肉、骨、脂肪、油を増やし野菜を減らすと言ってます。テンプン質や糖質の増加は勧めてません。「でんぷん質や糖質は生食動物たちに悪影響を 及ぼすことから、BARFプログラムには必要な素材としては含まれてない!」というはっきりした意見です。私達としては与える炭水化物の量にもよるし、少 々なら消化できている子には害はないだろうという意見ですし、与えすぎには要注意というのは皆さんご存知で、個々の体質の違いからうまくエネルギー源にで きる子も居れば、消化不良の原因になる子もいるというののが現状です。

猫達は糖尿病になりやすい体質なので炭水化物は与えない方が無難だとは思いますが、大昔からコメを食する日本人と暮らしていた日本猫達は、こういった炭水 化物の消化がヨーロッパ猫に比べたら上手なのかもしれないという感じもあります。しかし、最近では人の健康への炭水化物の悪影響も言われ始めてますよね。 何に関しても個人差があるため白黒つけられないといった感じです。要は、「その子にあった食事の量や素材、加工法」を飼い主さんが意識しながら見つけるこ とが大事かと思います。動物達が排泄するや尿の便、皮膚や毛の状態、動物自身が見せる行動が大事なバロメーターになるかと思います。

冬場は病原体への感染度も高いですし、体重減少を解消するために食事の量が増えるとなると体への負担も考慮したいと思いますので、生の膵臓で消化酵素を分 泌する膵臓を助け、プロバイオティックスで腸内環境を整え、マリアザミ種子で肝臓機能をキープし、ネトルなどで腎臓を綺麗にするのも良いかもしれません ね。与える生食もできればミンチにしてあげた方が消化に余計なエネルギーを消耗する必要がなく良いと思います。また冬はできれば生食を湯せんで(袋に入れ て熱いお湯に浸す)ほんの少し温めて与えることで、痩せてしまう体の消化を手助けできるかと思います。

プロバイオティックスは週に5~6日くらい、ハーブは月に10日くらいが適量です。私達の診療所では、食事が確りしているし、化学薬品などで身体に負担を か けてないし、至って健康である場合は、日頃から色々なハーブを与えるアドバイスは出していません。貴重なハーブはいざ必要だという時に効果を発揮して貰う た め取っておきます。自然の中の肉食動物達もいつもハーブを食べている訳ではなく、身体に異変を感じた時にどれが薬になるのか本能で分かっており、その異変 に合わせたものを探して摂取するということを彼らが私達に教えてくれました。


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