バイオメンター動物病院
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犬猫への野菜の必要性


生食の犬に野菜を与えるか否か、この議論は世界中の生食家の間で”論争”っとなっています。

その議論の前に、犬の食事は肉骨脂肪内臓ベースであることが健康を維持する基本であり、穀物や野菜、果物が全体量の半数以上という様な雑食動物用のメ ニューはお勧めできないと言えます。犬は狼よりも澱粉分解用のαアミラーゼが多いという主張を聞きますが、犬によっては狼と同じ量しか持ってない子も多い です。

特に日本の犬達は化学薬品による負担が非常に大きく、若犬だった時の血液検査は正常数値でも年齢と共に徐々に異常値(特に肝臓)となるケースが多いです。 ダメージを受けた身体(細胞)が再生・修復するには、肉食である犬猫が利用できる良質動物性タンパク質や脂肪と、内臓に含まれる活用し易いビタミンやミネ ラルを必要としてます。

生食に比べると質がどうしても落ちるドライフードを与えておられる方は、野菜ではなく、肉や動物性脂肪、骨や内臓をトッピングして動物達の身体の再生修復 材料を与えてあげてください。

後天性の様々な疾患の原因は過剰な化学薬品の使用と間違った食事法の二つであると言っても過言ではないです。

さて、上記の様な事を理解している方々が生食をされている訳ですが、野菜の有無は、生食の内容が確りしていれば、あえて討論する必要もない事だと私達は 思ってます。

個体差というものがあり、健康な子が生食を減らす事なく食事の全体量の5~10%程度の量の野菜や果物を追加で食べ、それを上手に消化し健康を維持してい るのであれば、その食事内容を変更する必要はないという意見です。

ただ症状を抱えた子であれば、食事内容を考え直す必要性はあります。私達も治療の妨害にならないよう植物性素材なしのBARFであったり、Prey Model を基本に作られ総合栄養生食を治療食としてます。

犬達の治療やデトックスを野菜や果物に託しているのであれば、それは薬用植物(ハーブ)の様な扱いであり、だとすれば目的に合った本格的なハーブを与える 方が治癒率は高いです。喧嘩で傷を負った家の猫が診療所に侵入し柳の樹皮を摂取したことがある様に、肉食動物にも植物性の有効成分が効きます。私達も多く のハーブや漢方で成果を出してます。しかしこれは、期間を決め服用させることが目的であり、予防として毎日与える為の物ではないです。

健康体への予防策でフリーラジカルに対する抗炎症作用や抗酸化作用、抗ガン作用などをフィトケミカルの栄養素に期待するのであれば、良質な内臓がバランス よくミックスされた生食にも十分含まれており、肉食寄りの消化器官を持った犬にとっては消化吸収活用し易い形での栄養素です。

NRCなどが規定する必要栄養素を基に”生食は不足分がある”と言われますが、あの数値はドライフードを基本にした結果ですので生食には適さないです。こ の話はまた今後。

野菜のカロチノイドでの例でも、魚油、卵、肉、肝臓、動物性脂肪に含まれるレチノール型のビタミンAは犬には吸収し易い形であり、粘膜防御作用、抗がん作 用、IgA抗体産生、肝機能の正常化、視力の改善、骨や皮膚の再形成に直接役立つものです。

ファイトケミカルには不明な点がまだ多く、人でも、吸収・分解する力、疾患によっては過剰摂取とより健康被害をもたらす可能性もあり、植物性の消化が苦手 な犬達が、「良いものだから」と無闇に食することで、以下にあるような点の動物への影響の度合いも不明ですので、生食であれば野菜は必要ないという論理か ら、私達は野菜などを率先して勧めたりしないようにしてます。

気になる点の例
  • 炭水化物はビタミンB とビタミンCを枯渇させる
  • 多くの野菜はアミノ酸 プロファイルを持っていない
  • 植物にはオメガ3脂肪 酸ALAが含まれ、犬猫にはオメガ3sEPAとDHAが必要。草食動物はALAをEPAとDHAに変換する。
  •  肉食動物 は生物を適切に消化し病原体抹消の為、胃のpHを1~2に保つ必要があるが、炭水化物は胃のpHを5以上に上昇させる
  • アブラナ科のゴイトロ ゲンと甲状腺への影響で、犬猫はヒトに比べコイトロゲンに反応し易く少量でも影響を及ぼす*
  • 関節炎と茄子科(ソラ ニン)の関係*
  • 豆などに含まれるレク チンとリーキーガット症候群の関係と、タウリンの取り込みを阻害する説
  • 全粒穀物に含まれる フィチン酸と鉄、亜鉛、マグネシウム、カルシウム等の吸収阻害説
  • 法蓮草や薩摩芋などに 含まれるシュウ酸塩のミネラル吸収の阻害や石と尿石の形成悪化
  • ポリフェノール化合物 の一部と言われるタンニンはタンパク質を沈殿させ、消化酵素を阻害し、ビタミンやミネラルの利用に影響を与え、胃腸管の粘膜に損傷を与える
  • 炭水化物の糖分による 血糖値の急上昇、癌細胞の主要なエネルギー源で体と脳に炎症を引き起こす

「犬は生き残る為に果物や野菜が必要か?」という疑問に全ての生食メゾットが『ノー』と答えてます。NRCもAAFCOも、炭水化物は健康的な犬の食事に 不可欠ではないと結論付けてます。

何においても個体差がある事を十分意識し、健康に良いという情報も自分なりに考え利用するようにしてくださいね。

*甲状腺疾病とアブラナ科の関係
アブラナ科の野菜は甲状腺疾患の子には与えない方が良いというお話を聞かれたそうです。この関係は私達も臨床経験があります。アブラナ科には、コイトロゲ ンというヨウ素の取り込みを遮断する成分が含まれますので、甲状腺機能低下を抱える子には与えない方がいいです。

その反面、猫に多い疾病で甲状腺機能亢進症には、反対にこのアブラナ科の投与が効果があります。私達の診療所でも飼い主を襲う甲状腺機能亢進症を抱えた猫 が居ましたが、生のブロッコリーを細かくして与えるアドバイスを出しましたら、大人しくなりましたので臨床で証明出来た内容ではあります。

* 関節炎と茄子科の関係
関節炎への茄子科の悪影響に関する質問です。茄子科の野菜にはソラニン(青い熟してないトマトにはトマチン)という神経をおかす毒性が含まれてます。ちょ うど野菜の青い部分に多い成分です。加熱する事で毒性はかなり消えます。

この毒性の成分と関節炎の関係は、アメリカのスタンフォード大学の研究で発表された事がある内容ですが、オランダの医学サイトでは、科学では証明出来ない 発表という風に言われてました。しかし、人での臨床で、茄子科の物を食事から取り除いた事で抱えていた関節炎が無くなったというケースも存在します。オラ ンダの医学サイトでは、確かめるには食事から抜いてみる事だという感じで書いてあります。

大量摂取すると死に至る成分と言われてますが、それは「4kgの生のジャガイモの皮」を食べたらの話です。まずそんな量を食べる人も与える人も居ないの で、人でも日頃の食事で使用する程度では全く問題ないです。他の茄子科の野菜も生では食べないのが多いですよね。






「犬 には野菜果物も必要?」主張と反論



・ベリーや草などの植物性の物を野生の狼も食べていた。

反論:

狼は獲物が少なく生き残れる為に腹を何かで満たす必要があり、仕方なく目の前にある植物性の物を食べたのではないか?もしくは、その狼は何か疾病を抱えて おり自然薬として植物性の物を摂取したのかもしれない。

・犬は狼よりも澱粉分解用のαアミラーゼ(Amy2b遺伝子)が多く、狼は2個で一部の犬は30個もっており炭水化物をよりよく消化できる。

反論:

実験では狼同様、Amy2b遺伝子を2個しか所持してない犬達も居たことが明記されてない。個体によっては狼の様に限られた澱粉分解能力しか持ってない犬 も存在すると言う事実。αアミラーゼには食物繊維を形成しているβ結合を分解する能力がない。

・パデュー大学の研究で、野菜を食べたグループの膀胱癌発生率を70%~90%減少できたので野菜は必須である。

反論:

A組はドライフードを与えられ、B組はフードに野菜という実験だが、唯単に野菜の水分量が功をなし膀胱癌を防げた理由ではないのか?質の悪いフードではな く生食を基本にした実験だったらどんな結果なのだろ?


・最近の肉類は栄養素を含んでない

反論:

それは最近の野菜や果物にも同じことが言える状況です。グリーンハウスで太陽を見ず、土壌で育たず、農薬を撒かれた野菜の栄養素は、太陽と土壌、そして オーガニック法で育った野菜よりも衰えますし、化学薬品による害も見逃せない

・食物繊維や多糖類をから短鎖脂肪酸が産生され免疫細胞を活性化できる。

反論:

犬は食物繊維などを分解消化する機能に優れておらず消化器官も短かすぎる。肉食動物は動物性たんぱく質繊維から短鎖脂肪酸を作れる事がオランダの大学の研 究で分かっており、生食メニューであれば敢えて発酵野菜を与える必要はない。

余談ですが、肉食動物の膵臓で分泌されるαアミラーゼは筋肉と肝臓に含まれるグリコーゲンを分解する役割があり、狼と同じ遺伝子2個の犬にさらにαアミ ラーゼが要求される澱粉を与えることで膵臓に余計な負担が掛かるケースもあるのが分かります。澱粉は穀類、コーン、小麦、コメ、豆類、芋類、タピオカ、わ らび、葛、やし類に多く含まれてます。

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