バイオメンター動物病院
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薬に頼らない身体作り


「風 邪」という名前の病気は存在しませんので、ウイルスや細菌などの病原体が鼻や口、喉の粘膜に侵入すると呼吸器感系に炎症を起こしていることを「動物が風邪 を引く」と表現します。鼻水、くしゃみ、咳、涙目で始まり、進行すると発熱や下痢、嘔吐、身体のだるさ食欲不振等の諸症状を伴います。感染する病原体は数 え切れないほど存在しますし、風邪を引く切っ掛けも様々です。寒さによる体力や免疫力の低下、空気の乾燥で粘膜が弱る、水分不足、病原体が寒さや乾燥に強 いため冬に 病原体の生存期間が延びていることなども動物が風邪になる要因の一つです。
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風邪症状で診察に行くと抗生物質を投与する獣医が殆どだと思います。獣医達が風邪症状に抗生物質を投与する理由は、(検査をしない限り)ウィルス性なのか 細菌性なのか明確でないからです。気管支敗血菌のような細菌が原因である可能性も有り得る訳ですし、最初はウィルス感染だとしても粘膜の炎症で、その後、 細菌などが繁殖し悪さをする二次感染症が起こる可能性もあります。

勿論、すでに二次感染が起こり悪化している場合(熱があるなど)はその細菌感染への治療 の意味もありま す。私達も、抵抗力のない動物の呼吸器感染症が悪化し高熱を伴うような場合は鎮咳剤、気管支拡張剤、去痰薬などで症状を緩和し、二次感染が酷くならないよ うに抗生物質治療(抗菌薬)を行うこともあります。また悪化した炎症から咳が止まらない様なケースもあり、自然薬(コロストラムやプロバイオティクス、コ ロイダルシルバーの様な)では症状を抑えられず悪化している場合はコルチゾールを2〜3日注射投与することもあります。
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こちらの飼い主さん達の中には、ご自分が風邪を引いた際にも薬に頼らず、まずは自然治癒力をアップさせる方法を選択される方が多く、ご自分の犬や猫の診察 に来られても「抗生物質は打たないで欲しい」と意思表示される方が多いです。

私達が、抗菌薬は本当に命に関わる様な場面や、免疫力が低下しすぎて弱ってし まっている動物たちだけに使う事をご存知なので、最近は、こういった意見をはっきり持った飼い主さん達が私達の診療所に多数来院されるようになりました。 というのも、他の獣医だと大喧嘩になると言われる方が多く、流石は我が意見を主張できる欧州人だと思います。
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なぜ、私達は直ぐに抗生物質を投与しないのか?まず第一にウィルス性の感染だとしたら抗生物質(抗菌薬)は効きませんので、投与する前に確りと必要性を判 断する必要があると思ってます。なぜなら抗生物質は病原菌だけでなく善玉菌を含めた全ての菌を死滅させますので、自然治癒の際に重要な役割を果たす善玉菌 の全滅により体の免疫がさらに落ちてしまうこともあるからです。

抗生物質を2日間飲むだけで腸内細菌は全滅することがわかっており、減少した腸内細菌が元 の数に戻るまでには最低でも2週間はかかると言われています。またオランダ人の飼い主さん達が主張するように軽い呼吸器感染症であれば、日頃から免疫系が 確りしている動物は自己治癒することができます。自分の免疫で病原体との戦いに勝利するうちに、寒い冬でも病気に掛からない抵抗力が備わりますが、抗生物 質を必要以上に投与することで、この強い身体を作る機会を奪ってしまっているケースが多いのが現状です。
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厚生労働省の専門家は、薬が効かない薬剤耐性菌の発生を抑えるため、風邪や下痢の患者に不必要な抗生物質(抗菌薬)を処方しないよう「抗微生物薬適正使用 の手引き」を出していると聞きました。患者から抗菌薬を求められた際の医者としての断り方も紹介してあり、抗菌薬の使用量を2020年までに13年比で3 分の2に減らすのが目標だという事です。

この手引きでは、風邪など急性気道感染症や急性下痢症での外来診療で、不必要に抗生物質が処方されている事実を踏 まえ、細菌性の病気や重い病気の兆候ではないと見分ける必要があり、抗菌薬では効果がないことや副作用のリスクを考えて不必要な処方をしないことを推奨し ています。これは動物にもそのまま当てはまる内容だと言えます。
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人が「薬に頼らない身体作り」を目指しているのと同じ様に、動物達にも自然治癒力で病原体に打ち勝つ自己免疫を強化してほしいと思うのは、どの飼い主さん も同じだと思います。私達の診療所へ来られる飼い主さん達には、呼吸器感染症状を認識した初期段階で悪化することを防ぐため家庭できるアドバイスを出しま す。電話相談で動物達の全身状態を観察してもらい診察が必要かどうか電話口で判断します。

家庭でのサポートで必要なものを買い揃えている方もいれば、私達 のアドバイスでそれらを直ぐに購入しに来られる方もいます。とにかく初期の段階で免疫アップに効くものをどんどん与えることで、単独では治せない感染で あっても自然治癒力が一時的にアップし、病原体を退治できる免疫細胞が活発に活動してくれる様になります。

病原体に勝てた身体はその事を記録として残し、 次に襲ってくる病原体への抵抗力として使い、最終的に薬に頼らない身体が出来上がります。その免疫アップのために役に立つ、家庭に揃えておいて便利な物を 今度 紹介したいと思ってますが、過去の記事の中に出て来たことのある物が多いです。また、なぜそれを使うのかという説明もしたいと思いま す。
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私達は動物病院ですので、動物達が医学的な面で健康であり、病気になっても治癒できるようにサポートするのが役目ですので、第三者としてできることを提供 する努力をしてます。それが過剰ワクチン接種への警告であったり、動物に合った食事であったり、ハーブや漢方、また適した薬剤の提供であったりします。

し かしそれ以前に一番大事なことを犬や猫の生食法であるBARFを開発したイアン・ビリングハースト氏が本の中で書かれてました。「日頃から動物達の健康を 維持する本当に大事な要因は ストレスのない生活であり、笑顔と愛のあるポジティブな環境で暮らすことです。」どんな薬も療法も、日頃から飼い主さん達か ら受ける愛情と笑顔、そしてご褒美の言葉には叶わないと思ってます。



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e-mail : japan@biomentor.org

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