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空腹時嘔吐への対処 空腹による嘔吐(胆汁嘔吐症候群)は黄色い液体を嘔吐する症状ですが、大抵は、”元気だから支障はない”という 診断が出ます。 しかし改善しない場合に対症療法として薬が処方され、原因治療をしないまま投薬を続けることで薬による副作用な ども抱えることになり兼ねないため、できれば改善したい症状です。 🔸ホリスティック獣医学による空腹嘔吐への対処 個体差もあり対処も様々ですが、私達の診療所で効果があった内容を紹介します。 1.朝食時間を早める 早朝に空腹による嘔吐をする子が多いので、単に朝食時間を変更することで改善するケースが多々あります。 2.人が寝る前に少量の食事を与える 「寝前の食事は消化不良を起こす」と考えている人が多い様ですが、犬は本来、夜行性ですので、本来、夜中に狩り し夜に食事をするというのは彼らの本来の習性ですので人間とは異なります。 身体的な活動が不可能でも精神的に活発になる子は意外に多く、特に番犬としての役割を担っている子達にとっては 夜勤ですのでお腹も減ります。 しかし、与える場合は血糖値が高くなる「ジェットコースター血糖(血糖スパイク)」の原因である炭水化物類は避 けてください。 3.血糖値スパイクの原因である糖分を与えない 上記の2にも関連する項目ですが、糖質代謝が苦手な遺伝子(澱粉分解用のαアミラーゼ(Amy2b遺伝子)数が 狼と似てる)を持つ子に多糖な食事させると、血液中に吸収されたブドウ糖を処理仕切きれず食後の血糖値が異常上 昇します。 異常上昇した血糖値を、今度は急激に下げる為にインスリン分泌が盛んになり血糖値が急降下し強い空腹感を起こし ます。 炭水化物を食さない生食の子達は「空腹時の代謝」が非常に優れており、上記の様に血糖値変動を起こすこともな く、異常な空腹感に不必要な胃酸を分泌し空腹時に嘔吐するという症状がないです。 4. 空腹時の代謝機能をアップさせる 「空腹時の代謝」とは、食事からエネルギーを得れない場合に、体内に蓄えたものを分解してエネルギー源として血 液中に放出する事を言い、それには以下の様な回路が存在します。 🔸糖質の代謝:肝臓や筋肉に蓄えていたグリコーゲンを分解しエネルギー源とする 🔸脂質の代謝:脂肪組織に蓄えていた中性脂肪を分解しエネルギー源とする 🔸たんぱく質の代謝:筋たんぱく質のアミノ酸を分解しエネルギー源とする 糖質の代謝には限界があり、筋たんぱく質の代謝まで行ってしまうと危険信号ですので、ここでは脂肪の代謝が中心 となるよう促します。 私達は愛犬達にこの野生レベルの優れた空腹時の代謝を身に付けられるよう、食事に関しては野生で起こりえる状況 を再現してます。空腹時の代謝機能をアップさせる話はまた次回に! 5.決まった時間に食事を与えない これも「空腹時の代謝」に大きく関係する項目です。 規則正しい生活をしている人間は、食事時に空腹になる習性を持ってます。その人間と一緒に暮らす犬達も、その人 の習性を習慣付けているため、決まった時間に食事を与えてもらえる事をよく知ってます。そのため、時間帯になる と脳から出されるシグナルで消化器官が活発になり胃液の分泌が盛んになります。 しかし野生であれば「獲物が獲れた時」が食事時間ですので、その時間帯は勿論決まっている訳でもなく、狩りに出 るのも時間がきたからではなく空腹を感じたからです。 ただ、空腹だから獲物が獲れるという訳でもなく、狩りが失敗に終わる時も多い訳ですが、そこで野生の肉食動物が 優れている体機能に「空腹時の代謝」があります。 6.エネルギー源となる脂肪分を食事に増やす 脂肪の代謝を促す為には脂肪を十分摂取させておく事が重要です。 脂肪が「悪い物」という情報を今だに流している専門家が多いですが、悪質な脂肪と良質な脂肪の区別がついてない 発言です。 良質な脂肪摂取を行う事で改善できることが非常に多く「空腹時の代謝」で一番重要な働きをします。 7.ストレスをなくす これは人も犬も似ている点ですが、胃酸は自律神経の働きが活発になることで分泌されるため、自律神経を狂わすス トレスをなくす事で、胃酸過多症を予防できます。 8.プロバイオティック2号 この時期は換毛期であるため犬達も毛球症による嘔吐を起こしているケースが大変多いです。 この時期に草を食べるのが毛球が原因である場合が多く、消化もできない草から栄養分を取り入れようとしてる訳で はないです。 2号は、消化管に留まっている毛球をスムーズに排泄し腸内環境を改善する働きがあります。上記した脂肪分摂取も 毛球症には効果があります。 9.プロバイオティック4号 軽い嘔吐症状がさらに悪化し、腸内環境のバランスを酷く崩してしまった時(下痢が伴ってきます)に使います。 毛球症なども放置してしまうことで消化器官内で炎症が起こり、腸内細菌のバランスが崩れ悪玉菌が増加することで 下痢症状を起こし始め、更には食欲不振になるケースも多いです。 空腹の他に嘔吐には様々な原因があり対応策も変わります。「胃腸炎です」という診断は見えてる症状を表現 しており原因でないことを理解し「なぜ胃腸炎になったのか?」を追求することが重要です。 |
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