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胃拡張・捻転症候群とFODMAP 反芻動物である羊の拳太達を世話していると、第一胃の中からよくガスが出てくる音がして、発酵している様子が伺 える匂いがします。 彼らの第一胃には多くの微生物が存在し、食べた草の繊維成分を分解し発酵する場所で、その発酵によるガスが発生 しゲップとして出されます。 人の消化器官でもこの胃腸内でのガスの発生が健康問題となることもありますが、このガスの発生の原因として 「FODMAP」と呼ばれる種類の糖類の摂取が言われてます。 食物は消化(分解)され小腸で吸収されますが、吸収されなかった残りカスは大腸へ送られ、水分が再吸収された後 に便となって排泄されます。 このFODMAPは小腸で吸収されない、またはされ難い成分ですが、吸収されないのであれば、そのまま便となっ て排泄できれば良いのですが、個体にっよってはこれが問題となる事が多いです。 FODMAP(フォドマップ)とは、小腸内で消化・吸収されにくい糖類の略称
の頭文字をとったものです。 過敏性腸症候群の人達は注意が必要な物だと言われており、これらの摂取を控えることで胃腸のトラブルが少なくな る人が多いそうです。 FODMAPは腸で吸収されにくいため消化管に水が溜まり、また腸内にFODMAPが留まり過ぎていると発酵が 起こりお腹の張りやガスがたまる原因になります。 繊維質やこういう糖質の多い食事をしていると、腸内細菌のバランスが乱れ、悪玉菌が増えてしまいます。その結 果、過剰なガスが発生してしまいます。 分解・吸収されなかったFODMAPは主に固体で、その量が増すことで消化管が詰まり出します。 腸は詰まった物の流動性を高めようとすることで水分量が増し、さらに量が増すことで小腸の壁を刺激してしまいお 腹が張った感じがしたり、痛みを伴うケースに陥ります。 小腸で吸収されなかったFODMAPはさらに大腸へ送られ、腸内細菌によって発酵され、人間が必要とする酪酸や 乳酸を作りますが、ガス(水素、二酸化炭素、メタン)も発生します。 注:余談ですが、肉食動物には動物性食物繊維から酪酸や乳酸を作れる腸内細菌が存在するので植物性の食物繊維を 敢えて摂取させる必要はないです。 FODMAPの量が多くなるとガスの発生量も多くなりお腹が張った感じになります。またガスが腸管壁を刺激する ので、痛みを感じ、場合によっては腸の急速な蠕動運動で下痢になることもあります。 反対に、大腸にあるそのカスから水分が吸収されて便が作られますが、カスが大腸の中に長く留まり水分が吸収され 過ぎると便秘になります。 また、カスの中には水分を引き寄せる性質があるものがあり、その成分が大腸に留まる事で水分量が高くなり膨張し 腸の壁を刺激し下痢が起こることになります。 上記の現象は人だけでなく、犬の腸内でも起こっている事ですので、愛犬に上記の様な症状が多い場合は、 FODMAPの摂取を控える食事方法(FODMAP Diet(フォッドマップ食事法)をお勧めします。 肉食動物である特に大の胃の中でガスが発生すると胃拡張となり、それが捻転するリスクが高まり、対応が遅いと死 に至ることもある緊急疾患と発展するケースもあります この胃拡張・捻転症候群は平均して大型犬に多い疾病で、特に症状として一番分かり易いのが、「腹部が張り、吐き 気を催しているにも関わらず嘔吐物が出てこず、よだれだけを大量に垂らしている」という状態です。 🔸ホリスティックの視点から見た胃拡張・捻転症候群の原因 最も多い原因は穀類、芋類、豆類、根菜類、その他の野菜などを含むドライフードであり、また野菜類を過剰に与え ている食事が大きな原因だというのが私達の意見です。 一般的に言われている原因には 高齢、早食い早飲み、食後の運動、空気の飲み込み、1日に1回の多量の食事などが言われてますが、多年層の生食 している犬達を25年以上診て来た私達や、30年以上の生食経験のある他国の獣医達の意見としては上記の理由は 考えられない内容です。 長年、生食を推薦する世界中の獣医達の臨床経験から言えることは 「完全な生食を食べ、野菜などの摂取も最低限(全体量の5%程度)もしくはゼロに抑えられている犬達の中には、 胃拡張・捻転症候群になる子は非常に、非常に、非常に少ない」 ということです。 ですから例え低FODMAP食である穀類、芋類、豆類、野菜類でも大型犬達への過剰摂取は避けた方が良いという 意見です。 ちなみに、高FODMAP食にラクトース(乳糖)を含むヨーグルトが記載されてますが、質の良いヨーグルトであ ればラクトースの数割は確り分解されており、さらに乳酸菌はラクトースを分解する酵素であるラクターゼを出して いるので、牛乳を飲むと乳糖不耐症の症状が出る個体でも、ヨーグルトなら症状が起こらない傾向にあるはずです。 もちろん、個体差は何にでもありますので、我が子の体調をよく観て判断して下さい。 また、食道の機能に問題を抱えている子であれば、高い位置からの食事が好影響与えるのは理解します。しかし、健 康で普通に物を飲み込める犬や猫であれば、本来の姿通り、地面から食べさせることで胃拡張・捻転症候群を防ぐこと ができるというのが、多くの臨床獣医たちの意見です。 |
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