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膵炎の原因と治療法 動物の膵炎はなぜ起こるのか?という疑問をホリスティック獣医療の視点でお話します。 私達の診療所に掛かっている子の中で膵炎を抱えているのは、他の診療所からセカンドオピニオンで移ってきた子達 だけです。幼い頃から生食をしている子達の中には膵炎を抱える子はいません。 さて膵炎には急性膵炎と慢性膵炎があります。 この臓器は、タンパク質分解酵素前駆体(トリプシノーゲン)・脂肪分解酵素(リパーゼ)・炭水化物分解酵素(ア ミラーゼ)など消化酵素が含まれていている膵液(消化液)を分泌し十二指腸へ送り出し食べ物を消化する外分泌機 能を持ってます。 また膵臓は血糖値を下げるホルモン(インスリン)や血糖値を上げるホルモン(グルカゴン)を分泌し、この二つを 抑制するソマトスタチンというホルモン分泌もおこなう「内分泌機能」も担ってます。 ◆急性膵炎 急な頻繁な下痢・嘔吐・発熱・激しい腹痛などの症状があり、黄色い脂ぎった便や血便が出ることもあります。重症 化すると生命をも脅かす合併症や激痛を伴う炎症です。 これは十二指腸に分泌されるはずの膵液であるタンパク質分解酵素前駆体(トリプシノーゲン)が、膵臓の中でタン パク質分解酵素であるトリプシンに活性化され(異所性活性化)「自己消化」してしまうことで引き起こされます。 ◆慢性膵炎 急性膵炎を繰り返しながら慢性化するケースもあれば、気付かないうちに徐々に細胞破壊や損傷が存在し慢性膵炎と 診断されるケースもあります。 長期に渡る下痢、嘔吐、消化不良、食欲低下、体重減少、腹痛、胃痛などで始まり、慢性膵炎の後期には、膵臓の外 分泌機能不全(EPI)による消化吸収障害 としての脂肪性下痢やさらなる体重減少、あるいは内分泌機能不全(インスリン分泌低下)による糖代謝障害(膵性 糖尿病)が認められるようになってきます。 ◆膵炎の原因 個体によって異な りますが、日本で多いのは以下の様な内容ではないかと思います。
気付かない間に「膵負荷状態」が続く環境で暮らすことで、検査では発見しきれない膵細胞破壊が密かに体内で起 こっており、上記した様な事を切っ掛けに数値として現れ「急性膵炎」と診断されるケースも多いです。 また膵細胞が徐々に犯され減少していくことで慢性膵炎や膵外分泌機能不全(EPI)という診断を受けるケースな らまだしも、それが合併症となり検査では出なかった膵臓の異常を見過ごすし、さらに悪化するケースもあります。 膵炎の診断は「膵臓から分泌され血液中に長く留まるもの」を調べることで診断し、この条件を一番よく満たすのが 「膵臓リパーゼ」という酵素です。 この膵臓特異的リパーゼが異常値であれば「膵炎」という明確な診断を出せますが、標準値であっても「膵炎ではな い」という診断には及ばないのが現実です。 猫における膵臓リパーゼを用いた膵炎の診断の報告はほぼない、という臨床現場での声もあるなか、115匹の猫の 剖検報告では、組織学的に膵炎を有していた 猫が66%も存在し、そのうちの50%が慢性膵炎で6%が急性膵炎、さらに10%が急性と慢性の両方の組織像を 持っていたことがわかってます。 また、見た目は健康な猫の45%が膵炎の組織像を有していたことも分かっており、臨場現場での診断できていな かったのか、膵炎診断基準が過剰でこういう結果になったのか不明な点が多いです。しかし、予防医学的には知って おいて損はない情報です。 🔸膵炎の改善と予防 「膵負荷状態」の体は、消化器系、免疫系、自律神経系等を介して様々な警告を発してきますので膵臓からの異状を 訴えるサインだというのをホリスティク的なアプローチで早期発見することが重要です。膵臓以外でも消化吸収に関 与する臓器全てが健康である事が重要です。 子犬や若犬などへの膵外分泌機能不全(EPI)や膵腺房萎縮診断は、体に合わないフードや化学薬品を続けている 限り原因追求は不可能です。これを「遺伝 性」として動物側に問題があるような診断をしたり、原因が掴めないために「特発性」と名付けられ原因療法をしな いまま慢性化への道をだどります。 悪い食事を消化できない、駆虫薬で膵炎や消化不全を起こすことはかなり普通の反応です。なぜなら食事を改善し、 化学薬品を減らし、まだ発達しきれてない膵 臓のサポートに生の膵臓食や膵臓入りのサプリ(酵素ではない)を補うことで改善するケースが殆どだからです。エ ピジェネティクスにより過剰な糖質や悪質脂 肪でも平気に消化する子は居るのでしょうが、膵炎が多い事から出来ない子が多いのではないかと推測されます。 私達の診療所に来る慢性膵炎やEPI診断を他所で受けた子達には先ず缶詰食から始め徐々に膵臓の改善を行いなが ら生食へと移行させていきます。膵臓のダ メージによっては切り替えに1年くらい掛かる子も居ますし、生食が消化できない(できなくなった)子もいるの で、無闇に、また急速に生食に移行するするの ではなく、動物の身体と相談しながら徐々に切り替えていくか、缶詰食に生の膵臓を混ぜる食事で落ち着くケースも 多いです。この時、炭水化物と化学薬品を完 全にゼロにしてしまう事が治療の条件です。 我が子の根本的な体質(体力・消化能力)を知り、その子の体質を意識した生活と食事改善をおこない、化学薬品へ の依存を無くし、消化能力を増すための運動をさせ、動物目線での行動心理学を学びストレスのない生活をさせてあ げることで膵炎のような疾病を予防できます。 急性膵炎の場合は断食で膵臓を休ませ、必要な治療を受ける必要がありますが、慢性膵炎やEPIの場合は継続的な 脂肪制限は,必須脂肪酸の欠乏や脂溶性ビタ ミン,微量元素の欠乏、ホルモン不足、エネルギー不足を招く危険性があるため好ましくないです。勿論、与えるの は質の良い脂肪だけです。 動物たちの急性膵炎では(良質な)脂肪制限よりも糖質制限の方が大事だと思います。また脂肪制限が告知された時 に、どの脂肪のことを言っているのか明確であるアドバイスであるべきです。 🔸膵炎の治療法 例
ワクチンは健康体 に投与するのが規則である故疾病を抱えている時はコアワクチンは抗体検査を行います。狂犬病ワクチンは免除して もらう相談を行ってください。 ハーブやサプリの与えすぎも膵臓に負担がかかるので、大事な物を与え不要な物は減ら す様な工夫が必要です。 日本で生食で育っている子が除草剤で急性膵炎にあったが回復が早い事に非常に 驚いきましたが、私達の診療所には急性膵炎ケースはゼロです。 治療中の慢性膵炎や膵外分泌機能不全は他所から移って来る子だけです。 生食で生活する子達が下痢になるケースは少なく、下痢でも回復が非常に早い子ばかりです。 私達の犬達も私も糖質セイゲニストです! |
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