バイオメンター動物病院
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子犬の慢性下痢症


6ヶ 月齢になる大型犬の子犬の慢性の下痢症状の事例のお話です。

8週齢で新家族に迎えられて以来、下痢、血便が続き、抗生剤、下痢止め薬、獣医が勧める療法食ドライフードへの切り替えを試みましたが、服用期間が過ぎる とまた再発するという状態を4ヶ月繰り返し、途方にくれた飼い主が私達の診療所に相談に来られました。
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実はこういったケースを今までも何度も診てきました。共通している点は子犬であり市販の有名ドッグフードを食べていたこと。獣医達の治療法も毎回同じであ り、薬の服用期間が過ぎると再発するという点に関しても共通してます。

私達の治療は、まず一度や二度ほどの再発であれば、バランスのとれた総合栄養生食に 切り替え、乳酸菌をベースにした下痢嘔吐用の乳酸菌ベースのプロバイオティックを併用し数週間様子を見てもらいます。70~80%のケースで完治がみられ ます。
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この子犬の場合、既に生後10週目から薬品治療を受け、まだ6ヶ月齢とはいえ再発を重ねてましたので、生食への切り替えを直ぐには行わず、質の良い(アレ ルゲン である可能性が高い牛肉を含まない)缶詰食からスタートさせました。その缶詰に生の膵臓を含んだ治療用生食を全体量の三分の一追加し、上記のプロバイオ ティックを併用したシンプルな治療内容です。

一週間後、「漸く良い便が出る様になった」と、治療開始後の初日から便の写真を撮っていた飼い主さんから写真 付きでメールが来ました。その2週間後、良かった便がまた軟便になったと電話がありましたので、膵臓入り治療用生食の量とプロバイオティックの量を増やし て貰ったところ、以前のような下痢血便まで至ることもなく、次の日には改善したと報告がありました。飼主の希望は、今後、便の状態を十分観察しながら徐々 に完全な生食に切り替えていくことです。
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生食を、離乳時期から食べている子犬たちの中にも軟便が続くケースもあります。大型犬の子犬達に多い症状です。原因が寄生虫や感染でない事を確かめた 上、それでも改善されない様であれば生食への消化機能がまだ十分に発達していない可能性を疑います。

その際にも、生食を続けながらも上記の様に生の膵臓と プロバイオティックを併用するアドバイスを行います。成長と共に消化機能が確り機能し始めることで自然と改善され膵臓治療食が不必要になる子が殆どです。 また一度の食事の量がその子の消化機能のキャパシティーを超えている場合を考え、(飼主さんの生活の中で可能であれば)一回の食事の量を減らし、1日の食 事の回数を増やすアドバイスも出します。

さらに、生食品に含まれる食材へのアレルギー反応ではないことも確認する必要もあります。子犬、子猫の便の状態や 毛並、また体重の増加などをよく観察し、生食であっても何らかの形で消化機能をサポートする必要があるケースも存在することを是非知っておいてください。

今回の子犬のように下痢症状を幼少期から抱え、同じ様な薬剤治療法を数年続けながらも再発を繰り返して来た成犬の相談も受けますが、すでに膵臓機能や腸内 環境のバランスを自力では保てないレベルまで悪化しているケースが多く、上記の様な食事療法のみでは完治できない身体になっている子もいます。

原因は、繰 り返す再発による膵臓疲労、消化液の分泌障害、腸内細菌のアンバランス、薬剤への依存などが主に挙げられますが、根本の原因は体に合わない食事を続けて来 たことです。この根本の原因が改善されないことで再発するケースは多く、慢性化してしまった場合は、完治(薬剤が不要になるレベル)ではなくQOLの改善 を目指し、状態が悪化した場合に抗生剤を使いながらも、食事療法、プロバイオティック療法、膵臓療法を併用し、再発する間隔を広げ、症状の継続期間を短縮 することを目的とした治療法を取ります。

1ヶ月に二週間ほど下痢が続いていた成犬も、この療法で年に二、三度ほど、発症しても二、三日程度に抑えられるレ ベルまで改善します。再発した際の即時の対応で、その後の悪化を最小限に抑えられ早急な改善を促せますので、ご家族にはその対応法を指導します。便の様子 や腸蠕動音、食欲低下や草を食べ始めるなど腸内バランスを崩し始める兆候を発見する知識を身につけ、早期対応することが非常に重要になってきます。

子犬の下痢や嘔吐といった症状への過剰な抗生剤使用に関して、原因追求をあらゆる角度から検討し、薬剤の必要性を見極めることのできる統合医療専門家に相 談されることをお勧めします。元気もあるし食欲もいつもと変わらないという様な状態であれば、まず断食させ水分補給を十分行い、プロバイオティックや活性 炭などを使いながらも様子をみることで改善するケースも多く、そういったことの積み重ねで、動物たちの自然治癒力が発達します。

もちろん、食事面での改善 が必要でないか検討することで再発防止へとつながります。感染による胃腸障害だとしても、日頃の食事に免疫力が左右されますので、下痢や嘔吐といった症状 を頻繁に起こす様であれば、やはり何らかの改善が必要となってきます。


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