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生食で薬剤耐性菌感染?


薬剤耐性菌は400万年以上前の洞窟から も発見されており、人類の活動が殆どなかったはずの北極の永久凍土にも薬剤耐性菌は存在します。

薬剤耐性とは、病原性微生物やがん細胞が、抗菌薬(抗生物質)や抗癌剤の薬剤に対して抵抗力を持ち、これらの薬 剤が効かない、あるいは効き難くなることを指します。

この事実から、一部の菌は生来の特徴として「もともと薬剤耐性」だということです。

人類が新抗菌薬を開発しても、耐性化する能力を元々もっている細菌が存在する訳です。

世界初の抗生物質であるペニシリンを発見したアレキサンダー・フレミングも、1945年のノーベル賞受賞スピー チの中で既に、薬剤耐性菌の問題について触れていた様です。

🔸耐性化のメカニズム
現代の人間社会において薬剤耐性菌が次々と発見される様になった背景には、抗菌薬の(不適正な)使用が大きく関 わっていると言うのは誰もが認識している事です。

薬剤耐性菌はその耐性を得るために、本来の菌としての能力を犠牲にしており、細菌叢の生存競争という意味では実 は「弱者」です。

この弱者であるはずの耐性菌に有利な環境を作り出す原因のひとつに、広域抗菌薬(広域スペクトラム抗生物質)な どの薬剤の「不適切な投与」があります。

広域抗菌薬による影響で、薬剤耐性菌以外の細菌(善玉菌や日和見、さらには一応体内での役割がある悪玉菌や体内 に侵入している無害菌など)が減少し、弱者だったはずの薬剤耐性菌だけが残ります。

体内が「非耐性菌に不利で、耐性菌に有利な環境」になればなる程、耐性菌の増殖が促進される訳で す。

また時には、長期に及ぶ抗菌薬への曝露そのもが原因で、生き残る為に細菌が変化し耐性化したりします。

その例として、抗生物質にさらされた病原性細菌のごく一部には、遺伝子の変化を伴わずに活動を停止する休 眠状態になって生き残り、抗生物質などの薬剤に対して耐性を示す細菌細胞(Persister cell : パーシスター細胞)が生じます。この細菌細胞は抗生物質を用いた細菌感染症治療後の感染症再発に関与することが示唆されています。

それに貢献している原因の中には、遺伝子組み換え作物の抗生物質耐性遺伝子含有であり、抗生物質耐性遺伝子含有 の作物を食する者の腸管で、抗菌剤暴露により菌が耐性を得るケースです。

抗菌薬関連による薬剤耐性菌の増殖と拡散経路は
  • 製造 工程→ 排水処理→ 受水→ 土壌
  • 不適 切な医薬品の廃棄→土壌
  • 人間 の治療→ 排水処理→ 受水→ 土壌
  • 養殖 魚治療→ 受水→ 土壌
  • 家畜 動物治療→ 肥料や糞尿→ 土壌→受水
  • 伴侶 動物治療→土壌→受水
などが挙げられて ます。

そこで、生食批判派が言う「生食動物達が関与してる感染経路」 を想像してみることにします。

1:過剰抗菌剤投与により家畜の腸管内で耐性菌発症&増殖
2:屠畜時に腸管内物が肉に付着し耐性菌感染
3:耐性菌感染肉を生で犬猫が食べる
4:耐性菌に感染した犬猫が何らかの形で人に感染させる

という感じでしょうか?

1と2の原因は
・成長剤として家畜に過剰に投与されているかもしれない抗菌剤
・治療目的で獣医が(不適切に)処方する(広域)抗菌剤
・抗生物質耐性遺伝子含有の作物が入った濃厚飼料

3の原因は、屠畜される際の大きなミス。

さて
「4:耐性菌に感染した犬猫が何らかの形で人に感染させる」
を私達なりに解釈します。

(仮説して)耐性菌感染の生肉を犬猫が”たまたま”食べたとします。

情報としてお伝えしますが、生食を食べている健康体の胃酸はご存知の様にpH1〜2です。

日本が世界の耐性菌出現率ランクで最低三位である「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)」を例にとると、

MRSAはpH5〜9の環境下で増殖しますので、生食犬猫の胃酸pH1〜2での生存は困難そうです。

たとえ胃酸を潜り抜け犬猫達の腸に達したとしても、生食している健康体であれば

🔸健全な常在菌達の存在により、細菌叢の生存競争では弱者である耐性菌の増殖が抑えられる

🔸自然免疫や獲得免疫などの強力な免疫系が菌を死滅させる

🔸腸内微生物により放出された抗菌性物質で菌が死滅する

といった事が体内で起こります。

生食しているからこそ、胃酸のバリア(pH)、強力な免疫系、健康な腸内微生物が維持されている訳ですから、生 食犬猫が薬剤耐性菌を環境に拡散しているとは到底考えられないです。

それよりも、原因治療を行わず再発を繰り返す動物達に、不必要に抗菌剤(広域抗菌薬)を処方し、その病気の個体 の腸管で耐性菌が発生し、それが環境中に影響を及ぼす確率の方が多分高いのではないでしょうか?

薬剤耐性菌が検出された場合に、十分な量の抗菌剤や長期投与が必要かもしれません。

しかし慢性疾病の再発への単なる対症療法による抗菌剤投与はこれとは全くの別問題です。

生食を目の敵にする前に、原因治療を行うことで、不必要な抗菌剤の処方を減らすことが重要なのではいかというの が私達の意見です。

薬剤耐性菌の拡大を防ぐ為に専門家も含め私達に出来ることは、動物達を抗菌剤などを必要としない強い体に育てる ことです。

最後に、生食派の1600世帯の人の耐性菌保有を10年間調査した結果、わずか0.4%の人間が保菌者でした。

しかしそれが生食を食べた動物からの感染であるという証拠もなく、また病原性があった訳でもないです。

またこの調査の0.001%の世帯で、生食の耐性菌と人間が保菌していた物が一致していましたが、犬は関連して ない研究でしたので、感染は人が家庭内で生食処理を行なっていた時に感染した様ですが、肉自体に含まれていたと いうよりも、その生食が耐性菌含有作物と接触している可能性も無視できないです。

また別の研究から分かっている事は、耐性菌保菌者にはフード犬もいる事実です。サルモネラの様な病原菌がドライ フードから検出されたというニュースはよく耳に入ってきますので、「生だからサルモネラ感染」というのは、いわ ば間違った知識だということです。


🔸その他の色々な事実!
  • 最も 多い耐性菌環境排出者は人である
  • 耐性 菌拡散の最大原因は広域抗菌薬等の薬剤投与
  • 犬が 排出する耐性菌と人の菌とは大抵一致しない
  • 家庭 で動物と人が耐性菌を共有している率は低い
  • フー ド犬も耐性菌排出する
  • 肉食 となる牛達が保菌者になる理由に、牛に穀物濃厚飼料が与えられているこということがあります。研究によ ると、牛が屠畜される1週間前から乾草を食餌にまぜることで、この酸抵抗性のある腸管出血性大腸菌(細 菌)は検出されなくなるという結果があります。
🔸抗 生物質耐性遺伝子が組み込まれた作物を食することで懸念されているのが以下です。
  • 抗生 物質、耐性遺伝子含有植物から細菌への伝達
  • 菌が耐性遺伝子蛋白を 植物を食する者の腸管で発現し薬として摂取した抗生物質を不活化する
  • 2年 間の輸入肉の腸管出血性大腸菌検査では、オーストラリア産で 2.4%、米国産で 1.0%の枝肉から O8、O128 等が分離されましたが、O157 は分離されなかったそうです
  • 例え 犬が耐性菌保菌者で、自分のお尻を舐め、その口で人を舐めたとします。しかしその舐める行為で発病性の ある耐性菌数が感染するというのはあり得ない話
  • どん な菌であっても、危険なのか危険でないのか?という疑問には個体差や個人差があります。病原性のない菌 に感染し下痢をす動物(人)もいれば、薬剤耐性菌を摂取してしまったとしても死滅させることが出来き無 症状の動物(人)もいる
世界中で耐 性菌が増えていることを訴える声が増加するからこそ、体が必要とする栄養素を正しく摂取し、自己の免疫系を 強化し、薬品使用を減らし、ストレスのない生活でメンタル強化に努めることこそ、何百万年も生きてきている 耐性菌達との戦いに勝てるのではないでしょうか?

🔸止 むを得ず抗菌剤を処方する場合の補助品

  • 腸内 細菌サポートにプロバイオティクス2号や4号
  • 免疫 系強化の為にコロストラム
  • 自然 抗生剤であるコロイダルシルバー

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