バイオメンター動物病院
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犬の歯は肉食動物の歯


家では生の子牛の肩甲骨は犬達の食後のおやつです。骨に残っている肉や軟骨、また中身の海綿骨や骨髄もしっかり食べてます。これは、カルシウムやリン、良 質な脂肪やタンパク質などの栄養分を取るためだけでなく犬達の歯ブラシとしての効果を果たしてます。

写真は6歳の時の北斗の歯です。生後三ヶ月の時にシェルターから引き取って以来、歯ブラシで歯を磨いた事は一度もないですし歯石除去(スケーリング)を行 なったこともないです。食餌は完全生食で、おやつも炭水化物や糖分を含んだものは与えず、食後の骨で歯のケアを行なってきた結果です。白くて丈夫で硬い骨 を噛み砕いても歯茎から出血することもなく、驚くほど硬い骨でもバリバリいわせながら細かく砕いてます。骨の食べ方も上手で、硬すぎるものは無理に砕こう とはせず、歯を折る様な事もしません。もちろん口臭もまったくないです。

日頃から生食を食べている犬達の胃液は強酸性で胃に入った、適度に砕かれた骨や肉の塊なども消化酵素に助けられ5時間ほどで消化されるシステムになってま す。幸い北斗もタクマも慌てて物を食べる行動はみせないので安心して骨を与えておけますが、時には何でも丸呑みする子もいますので、大きな骨をそのまま飲 み込んで喉に詰まらせるようなことがない様に気をつける必要はあります。余程、大量の骨を食べない限り、飲み込まれた物は消化される訳ですが、少し便が硬 すぎる子もいるようですが、そういった場合はオリーブオイルやココナッツオイル、亜麻仁油、また馬油を混ぜると、ちょうど良い硬さの便になるようです。

犬は雑食動物であるということをよく聞きます。犬の歴史の中で人と暮らすようになり(生き残るために)雑食になったのだと思いますが、口の中を観察すると 肉食動物であること事がわかると言われてます。ほんとどの成犬は42本(上20本、下22本)の歯を有します。これらは肉を押さえつけ、引き裂き、ちぎり 取るために先の尖った形をしています。犬には食べ物を咀嚼する習慣がないため、植物をすり潰すための平らな大臼歯は持ち合わせておらず、犬の大臼歯は尖っ て鋏状咬合(残りの歯と共に)で、肉、骨、皮を飲み込めるサイズに齧る、引きちぎる、裂く、切り刻む行為のためにできています。

頭蓋と顎の形は、深いC形の下顎窩で、顎の横の動きを妨げられてますが、この横の動きが植物を食べる時には必須だという事実からも、犬が肉食動物であるこ とがわかります。小型犬なども祖先である狼とかけ離れた存在の様に思われがちですが、歯を見ただけでも野生の祖先と何も変わっていないことがわかり、肉食 動物の内部構造と生理機能を持っている訳です。

犬の腸は人に比べ短く食べてから便として排出されるまでの時間も短いです。野菜類は滞留して発酵するのに時間を必要とする食物ので長くて小嚢を有する結 腸、大きくて長い小腸、そして盲腸が必要ですが、 犬にはこのような消化管がありません。その代わりに、肉食動物に共通の短い前腸と後腸を持っ ており、食物を消化しにくい構造になっています。その点でも肉食動物は植物を食べるのに適した体ではないと言えます。分解して消化される時間が足りないの でサラダバーで食べた草や人参などの野菜が食べた時と同じ状態で排泄されてしまう時がある理由が理解できますね。こういった理由から、犬に野菜を与えると きはできるだけ細かく刻んだり、少し茹で潰した方が消化には良い言われてますが、植物に含まれている大半の栄養素は、前加工された植物の場合でも犬が利用 できる形では存在しないという専門家もいますので、意見も様々です。肉やフルーツ等の消化酵素をたっぷり含んだ食べ物は体への負担も少なく、犬達の体に あった食べ物だというのは正しい知識のようです。

犬は通常、炭水化物やでんぷんを分解するために必要な酵素(たとえば、アミラーゼ)を唾液の中に殆ど含みません。肉食動物が、植物に含まれるでんぷん、セ ルロース、炭水化物を処理するために大量のアミラーゼを生成しようとすると、膵臓に大きな負担がかかると言われてます。というのも、犬は、炭水化物が豊富 なでんぷん質の食物を消化しようとして、通常のタンパク質や脂肪を消化する時よりも大量の酵素を生成することを強いられるからです。これが、炭水化物や食 物性繊維の多い食餌は犬の消化には悪いと言われる理由です。

オオカミの食習慣について書いてある本の中で、オオカミの食事は、主に様々な動物の筋肉部分の肉と脂肪分の多い組織であり、心臓、肺、その他の内臓を食 べ、骨は砕いて骨髄を取りだし骨の破片も食べるとあります。また大きな反芻胃/腸(胃の主要な部屋の1つ)を突き刺し、その中身を揺らして引き出し胃壁や 腸壁などを食べますが、腸管内に含まれる植物にはなにも興味を示さないそうです。

犬とオオカミのミトコンドリアDNAは99.8%が共通していますし、狼と犬を交配させ生まれた狼犬もさらに子孫を残すことができる事実から、犬が狼を祖 先としていることが理解できるかと思います。だからこそ、狼の野生での食事に注目が浴びている訳で、生食といわれるBarfの様な食事法が見直されている 訳です。私たちの診療所でもこの生食(ローフード)が疾病の治療に大きな役割を果たしています。また生食している犬達が歯石除去に来る事が全くないのも事 実です。

犬用のドライフードしか与えてなかった犬に生の骨や肉を与える場合は、徐々に慣れさせる様にしてください。ドライフードだけ消化していた子が生食を与えて 下痢になるというケースも多々ありますが、私たちはデトックス効果だということで、そのまま生食を継続して頂くアドバイスを出してます。最初は少し茹でた り焼いたりしても良いかもしれないですね。


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