バイオメンター動物病院
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空腹時の代謝機能アップ

空 腹時の代謝

空腹時の代謝とは、断食中に体内に蓄えたものを分解してエネルギーを得る機能であり、糖質の代謝、脂質の代謝、 たんぱく質の代謝などがあり、体のエネルギー源としては以下のものがあります。

🔹グルコース
🔹脂肪酸
🔹ケトン体

空腹時の代謝を深 く追求すると難しい話になりますので、ここでは肉食動物らしい食事をしている断糖生食の子と、糖質を多く含む食 事をしている子達の体を比較します。

🔸空腹時の代謝
空腹時には血糖値が下がり、それを正常範囲に保つため肝臓に貯蔵してる肝グリコーゲンが分解されグルコースとな り血糖値を改善します。

しかし、この供給には限度があり肝臓グリコーゲンは枯渇しますので、今度は血中へのグルコースの供給源が「糖新 生」に切り替わります。

糖新生とは糖質以外の(体内にある)ものからグルコースを合成するためのシステムで、これはグルコースのみをエ ネルギー源とする赤血球や網膜などの一部の部位のために最低限度の血糖値を維持する為の機能です。また無酸素運 動により筋肉を収縮させた時もグルコースがエネルギー源となります。

糖新生の材料となる物質
  • アミ ノ酸(筋肉)
  • 乳酸
  • グリ セロール(脂質)
この中で、糖新生の材料として最もよく使われてるのが筋肉から得るアミノ酸です。(糖新生の90%)

その後、空腹時間がさらに続くことで、体は主要なエネルギーを中性脂肪を分解すること得るシステムに移行しま す。そこで出てくるのが脂肪酸やケトン体です。

この糖新生で得る『グルコース・グリコーゲン』エネルギーシステムから『脂肪酸・ケトン体』へ切り替わるという 体の機能において、断糖生食派と糖質摂取派の違いが出てきます。


🔸断糖生食派と糖質摂取派の違い

🍖断糖生食派
断糖生食する動物達は『グル コース・グリコーゲン』エネルギーシステムから『脂肪酸・ケトン体』エネルギーシステムに切り替える事を得意と する。

✤常に『脂肪酸・ケトン体』エネルギーシステムがメイン機能であるため糖新生の安定が血糖値安定に繋がり、血糖 値スパイクも食後低血糖も起こらない。

✤心筋・骨格筋など体細胞の主たるエネルギー源を『脂肪酸・ケトン体』で賄っている為、不必要に筋肉(アミノ 酸)をエネルギーに使い筋肉消耗もない。

✤持久力のあるケトン体によるエネルギー供給で、絶食継続中にエネルギー消耗で免疫や体力が低下したり精神的に 不安定になることがない。

✤血中にケトン体が出る事により満腹中枢を刺激し食欲を抑える働きがあるため空腹感も直ぐに抑制される。

✤空腹のストレスで自律神経のバランスを崩して胃酸過剰になる事も無く、空腹時の嘔吐もない。

✤16時間や20時間の断食であっても、全身状態を正常に保ち、基礎代謝である糖新生も無理なく行える体を持っ ている。

✤脳の糖利用機能が加齢により低下することが報告されているが、脳のエネルギー源にケトン体を利用していること で脳機能も元気である。

✤常に効率良いエネルギー供給を行なっているため過食する傾向がなく肥満体になり難い


🍚糖質摂取派
●『グルコース・グリコーゲン』エネルギーシステムが優先的に行われている為、空腹時の代謝もグルコースを求め 糖新生がメインとなり、原料である筋肉が犠牲になる。

●十分なエネルギーが得られず空腹感が長く続き、過剰な胃酸分泌やストレスホルモンの過剰分泌などを起こす。

●糖新生能力の低下で低血糖や、エネルギー生産のため筋肉を過剰に喪失し基礎代謝の低下が起こす。

●心筋・骨格筋などの体細胞へのエネルギー源をグルコースに委ねている為、ケトン体を作るまで時間がかかり、そ の分糖新生に負担がかかり、最終的には肝臓の糖新生能力までもが衰える。(糖新生は赤血球などのために作動して いるのが本来の役割。)

●脳に脂肪分解要請シグナルを送るのは肝臓だが、その疲労でさらにケトン体生成を遠ざける要因となっている。

●エネルギー不足でストレスホルモン分泌過剰となり、自律神経が不安定となり精神的な異変が起きやすい。

●空腹感も抑えられない為に糖を求めて食糞する様なケースに発展する。

●糖質摂取により分泌されるインスリンは強力な糖新生抑制因子を保つため、インスリン抵抗性を持つ子は、ケトン 体に切り替えにくい体質となり上記の事が起こり易くなる。

●インスリン抵抗症はすい臓のβ細胞をも徐々に疲弊する事にも繋がる。

●空腹時にグルコースを求めている為、過食する傾向にあり肥満体になり易い。

♦️空腹時の脂肪代謝機能アップ法♦️

✔︎断糖し良質な脂肪の多いバランスのとれた生食(動物性原料のみの缶詰・手作り)にする。

✔︎脂肪を増やす分、生の膵臓を与える

✔︎野菜はGl値の低い食材を選ぶ     

✔︎野生で起こる事を再現する
    ●空腹感と満腹感を経験させる
    ●食事時間を一定にしない
    ●消化出来そうなら食べ残すまで与えてみる
    ●時には少量にしたり断食させる
    ●1日一食にする
    ●夜行性/薄明薄暮性に合う時間帯に与える
    ●朝に骨だけの日を儲ける
   
✔︎脂肪代謝を促す有酸素運動を行う

✔︎エネルギー工場である肝臓や血糖値調節ホルモンを分泌する膵臓を疲弊させる過剰薬品を控える

✔︎脂肪代謝に必要な栄養素を摂取させる (ビタミンB群、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛など)

✔︎おやつは頻繁に与えず、与える時も無糖の物にする

✔︎16時間の絶食時間を持つ

🐺家の犬達の場合
モナミ達には普段から少なくとも16時間は食事を摂らなくても大丈夫な体を維持することを目的に食事管理してま した。人間の私達も同じ様に16時間のファースティングを毎日行なっているので同志です。

その管理の目的は、赤血球などや瞬時の筋肉動作のために糖代謝も上手く出来、心筋・骨格筋など体細胞などにはケ トン回路も確り回せる適応力を得て貰う為です。

家では1日一食を目指していた訳ではなくても、最終的には彼らの決断で1日一食となり、食べる時間も各自異な り、食べる量もその日によって変化します。

今年で11歳のシニアの腸大型犬の北斗は、朝と夕方の二食という日も時々あります。調子がいい時は1食で、環境 の関係で調子が悪い(猛暑など)時は、夕方と夜中の二食というパターンになります。

1日の最初の食事時間は、18時であったり、21時であったり、夜中の0時であったりします。18時に食べて、 0時に骨だけ食べる子もいます。食べる食べないは、私が各自に質問して、それに行動で答えてくれる事でわかりま す。

小型犬であっても1日一食パターンが殆どで、狼犬のモナミなどは最初に食事をするのが夜中であることが多々あ り、絶食も自ら行うことも頻繁にあります。それでも胃腸に異変が起こり、胃液を嘔吐したり腹鳴が鳴る事も無く精 神的にも安定しておりいつもの様に過ごせる元気です。彼ら自身で自分達の消化器官を管理しているといえる状態だ と思います。

狼犬のモナミは私達が寝る前でに催促にも来ない日も多く、仕方ないので寝る前に食事を置いて私たちは寝ますが、 朝起きると完食している時があるので、一度夜遅くまで起きていた時に確認した事がありますが、23時ごろに少し 食べて半数以上残します。そして夜中の2時くらいに残りを食べている事が多いです。

犬は「満腹感に鈍い」動物と言われている様ですが全くの誤解です。彼等にも確り機能する満腹中枢があり、彼らの 食事の習性を繰り返すことで、空腹感と満足感を確り体で経験し、自分の体内の時計を知ることが可能になります。

また無酸素運動により筋肉を収縮させた時もグルコースがエネルギー源となりますので、空腹時に効率良いエネル ギー回路を作動させ有酸素運動を行わせる工夫をしてます。それにより不必要な筋肉消耗させず、体への負担が減る からです。時には馬のSKYと競争してますが、あれは無酸素運動ですが、吠えながら走っているので意外にあの程 度の動きなら犬達は有酸素運動なのかもしれないですが。

空腹時の脂肪代謝機能アップ法を全て行うことは不可能だと思いますので、ご家庭でやれることを、意識しながら行 うと良いかと思います。


#野生動物に近い体を目指す
#猫のシンバは一回に600gr食べる時もある
#狼も一回に最大で9kgは食べるらしい

  • 北 斗(超大型犬11歳)は1日一食や二食。昼間や夕方、夕方や夜中。
  • 逞 (小型犬5歳)は1日一食、22時ごろ。少食なので牧場では生食から作られたフードもト リーツとして適量与えてる。
  • モ ナミ(狼犬4歳)は1日一食、夜中の0時以降。更に真夜中に食べている時もある 。
  • 絵 菜(小型犬4歳)は1日一食、22時ごろ。朝に肉付き骨を食べる事が多い。


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