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薬剤性による障害 化学薬品による中毒症で食事ができない十六ヶ月齢の子犬が診察に来ました。 飼主は獣医に言われるがまま、8週齢で引き取ったその日から毎月、経口駆虫薬とスポットタイプのノミダニ殺虫剤を1歳になるまで投与し続けました。最初に 見た子犬らしい元気さがドンドン消えていく様子は受け止めておられ、頭では「何かか変だ」という気持ちを持ちながらも、獣医が指示するからという事で止め る勇気がなかったと言われてました。 1歳になった時期に避妊手術を勧められ、術後に2週間、経口用の抗生剤と鎮痛剤を処方されましたが「これで良いのだろうか?」と感じながらも投与し続け、 クールが終わった時には全く食事しなくなり、下痢や嘔吐、腹痛を抱え1日中不安そうに飼い主の後を付いて回り、子犬らしく燥ぐ姿も遊ぶ姿も消えてしまって いたそうです。 状態が徐々に悪化するため獣医に検査して貰った所、出血性胃炎があることが判明し胃酸分泌抑制剤を処方されましたが、短期の回復を見せた後、結局症状が再 発し、知人にその話をした時に私達の所に相談しに行くよう勧められ来院されたそうです。良かれと思って行なっていた化学薬品投与でこんな結果になるとは考 えてもいなかったと言われました。 私達のアプローチは以下です。
プロバイオティックスと活性炭は注射器で口に投与し、食事に関してはご褒美の様に褒めながら口に持って行く形をとって頂く様にしました。 1週間後、追加の食事を買いに来られました。 プロバイオティックスも活性炭も快く受け入れてくれるし、食事も自分ではまだ食べようとはしないが飼い主が与えると嬉しそうに食べてくれる様になったと喜 ばれてました。不安そうな行動も徐々に減っており、遊びたい欲求が戻って来た様だという話でしたので腹痛の方も減少している様子です。 子犬の頃からダメージを受けてますので、まだまだ油断できない状況ですが、今は化学薬品によるさらなる胃腸内への障害は阻止しましたので、後は自然薬と適 した食事で自己免疫力をアップさせ内蔵を回復させるサポートを行います。 実は同じ週に、駆虫薬である経口ブラベクト(フルララネル)とワクチン接種、そしてスポットタイプのノミダニ殺虫剤を同時に投与したことが切っ掛けで、胃 腸障害に見舞われ食欲が落ち体重減少が続く為に来院した大型犬もいました。上記の小型犬の子犬の様に長期にわたる投与ではありませんでしたが、ブラベク ト・ワクチン・ノミダニ殺虫剤のトリプルパンチで胃腸内環境がまずダメージを受けたケースでした。体重は21キロでしたが、体重20kgから40kg用の プラベクトを経口投与されたそうで、暴露量が大量すぎたようです。 ブラベクトはオランダでも毒性が強い事で巷で有名で、指定量を与えたにも関わらず使用後に犬達が死亡するケースがあり、また神経障害、肝臓と腎不全、呼吸 困難、または癲癇発作を起こしたケースの数もヨーロッパではすでに3000件以上、世界中でも数千件の報道が寄せられているそうです。 診療所にも休暇で山奥登りに行かれる際に、二匹の犬達が毎日三十匹ほどのマダニを連れてくるという理由で(病気になる心配はされてませんが)マダニを取り 除く作業に時間がかなりかかる為、ブラベクトを使用されると話されてましたが、適用する量は箱にある適量の半分で十分効果があると言われてましたのでかな 理強い薬品であるのがわかります。 どの化学薬品にも有用性(ベネフィッット)はありますが、有害性(ハザード)も存在します。日本で多いケースは、化学薬品(駆虫薬や殺虫剤)を長期間与え る結果、身体への影響が発生する長期毒性による薬物性障害が多い様に思われます。今回の小型犬は胃腸障害として発症しましたが日本では薬物性障害が多い様 な感じです。 毎月の暴露量では目に見える異常は見られない子でも、それが積み重なって肝臓の解毒システムを狂わせ始め、成犬の年齢になる頃に肝細胞の破壊が血液検査で 発見されるケースが多いです。肝臓の解毒システムは記事にしており、ダックスフンド達の予防医療セミナーに行ってきた時の動画で掲載してます。 これから日本は駆虫薬&殺虫剤を投与し始める季節です。 オランダにいる私達には状況を判断するのは不可能ですが、このインスタ上には「駆虫薬&殺虫剤投与ゼロ」という方もいれば、4月から12月まフルコースで 投与されている方がいて、どちらも同じ地域にお住まいで、同じ様な行動をとられている事実から、”一体どうなんっているのだろう?”と状況が掴めないとい うのが正直な意見です。 駆虫薬などを勧めない日本の獣医もいる話は、フィ ラリアの話の時にしましたね。 |
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