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フィラリアと駆虫薬 フィ ラリアのお話です。最近、多くの質問や相談を受けるようになりましたが、その中でも多いのが、フィラリア駆虫薬に関する疑問です。オランダにはフィラリア は存在しませんので、日本の現状を掴むことが出来ず確実な回答を出せずにいました。しかし動物たちの健康を予防学の視点から考える上で、過剰ワクチン接種 と過剰駆虫薬投与は避けられない問題であり、良かれと思ってご使用になるご家庭が多いからこそ、明確な情報が重要になってくると思います。動物達の身体へ の影響を考えると放って置けない話題です。 . 今回、この記事を書く切っ掛けを作って下さったのは、フォローさせて頂いている大阪在住の方で、すでに14年、フィラリア駆虫薬なし+生食とオーガニック の虫除けスプレーのみで問題なく過ごされている愛犬、愛猫家の方です。また日本での現状と本質を、獣医師として正直に話して下さる方々をご紹介頂き、私達 のために電話でのインタビューまで行って下さり心から感謝します。 . まずフィラリア症(犬糸状虫症)の感染ルートの話です。これは、日本と同じくフィラリア駆虫薬に関する問題を抱えたアメリカのホリスティック獣医師からの 情報をそのまま訳す形で説明します。 「フィラリアに感染している犬の心臓に住む成虫から第1期幼虫であるミクロフィラリアが生まれ、その犬の血液を蚊が吸うことでフィラリアに感染した蚊が発 生します。ミクロフィラリアは蚊の体内で第3期まで成長しますが、第1期(L1)から第2期(L2)に発育するのに14日間掛かります。最終的に第3期 (L3)まで成長するのに、最低でも24時間中の日夜の温度が17.22度以上、32度以下である日が一ヶ月続くことが最低条件です。 第3期の幼虫を媒介出来る種類の蚊が、非感染犬に吸血する際に犬の体内に侵入し、皮下組織や筋肉、脂肪などに先ず潜み発育を続けます。第3期から第4期 (L4)に1日から10日、第4期からから第5期に50日から68日、第5期から成虫発育に90日から120日という日数が掛かります。この第5期初期ま での間に犬の免疫が幼虫を抹殺できなかった(駆虫されなかった)場合に、心臓の肺動脈あたりに寄生し第6期である成虫に成長しフィラリア症が発生しま す。」 . 日本で推薦される一般的な治療は、感染の有無を検査した後に月に一回「予防薬」を投与するというものです。まず、成虫が原因であるフィラリア症を幼虫の時 点で駆除するので「病気の予防」でもあるという見方から「予防薬」と言われるようですが、犬の体内に寄生する幼虫を駆虫するたの薬品ですから「防虫剤・殺 虫剤 」の製剤区分に入る化学薬品であることも事実です。 . 上記したフィラリア寄生虫の成長過程をみると、駆虫薬の投与は毎月ではなく(情報の中で一番短期をとって) 2ヶ月になる寸前まで間隔を開けても十分では?という疑問が我々には湧きました。 毎月行う理由は「飼い主が忘れるから」「犬が知らないうちに嘔吐するケースもあるから」という話を読みましたが、副作用の多い化学薬品投与を減らせるので あれば、忘れるなんて事は考えられないです。 また嘔吐の話にしても、知らない間の嘔吐で、その1ヶ月後に再投与するのですから、結局2ヶ月開けている事になり問題ない様な感じで腑に落ちない理由で す。 例えば、5月から11月までの7回の投与が1ヶ月半間隔であっても、最終的には4回で済みます。年間の投与数が少ない分、排毒を担う肝臓への悪影響も抑え られることから、十分吟味するべき点ではないかと思います。 現に、オーストラリアの研究で、よく日本で処方されるフィラリア駆虫薬による肝臓疾患の発症が明らかになっており、臨床でも、原因のわからない肝臓数値の 上昇があった場合に、過剰駆虫薬摂取やワクチン接種が原因があるケースが多々あります。全ての犬たちが肝疾患に掛かるわけではないですが、こういった化学 薬品に敏感に反応する犬達が多いのも事実です。 . また私達が疑問に思いアメリカの獣医も警告している点は、愛犬の体重が22kgであるケースで、20~40kgの犬を対象にした駆虫薬を処方しているとい う点です。22kgでありながら、二倍ちかい40kgの犬にも効果のある量を与えている訳ですから、22kgの犬には過剰すぎる量だと言えます。 . 上記の疑問から、危険地域にお住まいで駆虫薬がどうしても必要なケースではまず与える間隔を開け、一回に与える量を最小限にすることで、体への悪影響を抑 える事ができます。 また最近では、ノミ・マダニ・ダニ駆除薬の有効成分アフォキソラネルと犬糸状虫症予防薬の有効成分であるミルベマイシンオキシム(成虫も幼虫も駆除する薬 品)を配合した駆虫薬を勧められるようですが、犬達の体への影響を考えると副作用のある化学薬品を配合して同時使用せず、フィラリア駆虫薬のみを単独で使 用し、必須地域であれば期間を置いてノミやダニ用のスポットタイプ(胃腸に障害が出ない)を使う方が負担が減ると思います。また使用前後に関するケア法を 以下に載せてますので参考にしてください。 日本で開院されている四名の獣医師たちの意見 東京の二名の獣医師達は、過剰なワクチンや駆虫薬投与にも反対意見をお持ちの医師達で、生食を推薦され、都内でのフィラリア新規感染ケースに遭遇したこと はなく、室内で暮らしているのであれば駆虫薬は必要ないという意見でした。もし東京以外の川や山に行く場合は、50日に一回、モキシデックを一錠(体重 1kgあたり3mcg モキシデクチンの割合)で十分であるというアドバイスを出すそうです。モキシデックは幼虫のみを駆除する薬品です。また余計な検査や投薬を受けるよりも、 美味しいお肉を買ってあげてくださいという事です。ワクチンや駆虫薬の過剰摂取が危険である事を分かりやすく説明して下さり、動物達の生活に合わせた駆虫 薬の有無を判断して下さるそうです。 大阪府の獣医師は、ワクチンや去勢、避妊手術は義務でない事を丁寧に教えてくださり、フードが合わない子には手作り食に切り替えるアドバイスをされるそう で す。また同じく大阪府に開院の別の獣医師は、余計な検査や治療などは行われず、動物達の自然治癒力を妨げない治療を行っており、生食への理解もある院長先 生だそうです。両者のフィラリアへの意見は、西日本ではフィラリア駆虫薬の使用は避けられないというご意見でしたが、与える量、投与間隔などを相談すれ ば、きっと皆さんの状況にあったアドバイスをして下さるのではないかと思います。 最後に、フィラリア駆虫剤であるミルベマイシンオキシムのような薬品の使用制限等に、以下のような内容が書かれてあります。「健康状態を確認し使用可否を 決め、8週齢未満の子犬、又は体重1.8kg未満の犬には投与しない。繁殖に用いる犬、妊娠中あるいは授乳中の犬に対しては、安全性が確認されていないた め投与を避ける。てんかん発作の病歴のある犬に投与する場合は、投与の是非を慎重に判断する。」殺虫剤という副作用のある化学薬品を投与するわけですか ら、基本的には、その薬品に対応できるだけの全身状態である事が条件だというのを是非忘れないでください。 四名の日本獣医師たちの情報に興味がある方は、japan@biomentor.orgにメールがインスタグラムでDM頂ければ幸いです。 |
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駆虫薬投与前後にできるケア |
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フィラリア駆虫薬投与前後にできるケアを、ホリスティック予防獣医療の面でお話しします。 駆虫薬の有無に関しては日本の獣医達や飼主達の間でも賛否両論と意見が分かれる話題でもあり、特に駆虫薬経口投与後に体調をひどく崩してしまう子がいる方 にとっては大変悩ましい問題です。 血液検査での肝臓数値の異常上昇もこういった化学薬品による影響であるケースが多いというのが獣医である主人の意見ですので、何とかしてあげたいと思って おられる方も多いのではないかと思います。 都内の室内飼いであれば、野山訪問の時だけ駆虫薬を使う指導をされる獣医達も日本には存在しますので、できれば是非そういった獣医に掛かられることをお勧 めします。学者達の記事をみても、都会では、過去の治療の成果もあり、フィラリア症も稀な疾病となりつつあると言っている方もいました。 またこの寄生虫が繁殖を成功させるための条件(過去のフィラリアの記事参考)も厳しく、ほぼ完璧なタイミングで多くのことが起こらなければ幼虫の成長も、 犬への感染も無理です。その高いハードルの度に感染する確率も減って行くという感じです。 後、経口薬は三日程で体外排泄されますので、駆虫するのであれば野外外出後に行う方が良さそうです。感染幼虫の成長日数は、第3期幼虫1~10日→第4期 幼虫50~68日→第5期幼虫:90~120日という事ですので、最短をとっても成虫のなるまでにかなり時間に余裕があります。 イベルメクチン、ミルベマイシン、モキシデクチン、セラメクチンが代表的なフィラリア幼虫への駆虫薬成分ですが、各成長期への有効性や薬物動態学的な特徴 に違いがありますので、別記事を参照ください。 また長期間効果薬は、駆虫薬剤が体内に長期に停留しますので、身体への副作用が出る可能性が高く、敏感な子にはお勧めできないという意見もあるようです。 ケア法をお話しする前に強調したい事は、健康体を作るバランスの取れた種に適した食事を与える大事さです。これは、動物があらゆる種類の感染や害虫、寄生 虫に対して強力な免疫システムを築き、侵入者を撃退する能力が高まる基本です。 自己防衛システムが健康なほど、寄生虫などを排除する力(抗ミクロフィラリア免疫応答)もあるという事です。また寄生虫はは弱い動物に最も引付けられます ので、健康体であることで寄生虫の寄付けをも予防できます。これが、駆虫薬をされない方の強い切り札なんだと思います。 昨日は顔に三びきのマダニをつけて、犬が暴れて取り除けないから取って欲しいと来られましたが、生食している子で駆虫薬などつけていませんでしたが、全て のマダニが少し吸血した時点(まだ小さかったです)で死亡してました。生体防御機構の力でしょうか? 因みに、死んでるマダニは頭が切れる事なく(皮膚に残る事なく)無事に取り除けられました。餌では釣れない暴れ様だったので、まずゆっくり説明して理解し てもらいましたら、大人しく取らせてくれました。 駆虫薬投与される子へのケア法 1. 投与間隔をできるだけ開ける(40〜50間隔) 2. 投与量を最低有効量に抑える(体重に合わせて計算する) 3. 一有効成分入り製品にする(ノミダニ殺虫剤を併用してない商品) 4. 消化器官の弱い子にはスポットタイプ(胃腸障害やリーキーガット症防止を防ぐため) 5. 同じ週にノミダニ殺虫剤投与をしない 6. 投与中は、ワクチン接種や不必要な抗生物質、ステロイド使用を避ける 7. 投与前、投与中、投与後に胃腸保護の為プロバイオティクス4号 8. 投与前、投与中、投与後に解毒強化のためビタミン&ミネラルを追加摂取 9. 投与前、投与中、投与後に免疫強化のためコロストラムを摂取 10. 毒素の再吸収を制御する為、投与三日後に活性炭で5日間デトックス 11. 免疫系や腸内環境修復のためプロバイオティクス2号 12. 活性炭の後にマリアアザミ・タンポポ・イサクラなどで5日間肝臓&腎臓デトックス 6〜12は駆虫薬を行わない子の免疫強化のためにも有効ですし、ワクチン接種前後のケアにも使えます。 自然オイルスプレーのレ シピも是非、参考にしてください。 |
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ホ リスティック 獣医学情報 |
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オランダ獣医と 動物大家族 |