バイオメンター動物病院
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家の三頭の抗体検査実験 結果発表


家の三頭のIgG抗体検出用検査キット「犬用ワクチチェック」での抗体検査の結果です。

前回の記事をご覧になってない方のために少し事情を説明しますと、抗体検査を行う切っ掛けは、前回出ていた偽妊娠中の絵菜を母にする計画があり、6週齢 の時にパルボウイルスワクチンのみ接種されていた絵菜が未来の子犬達に移行抗体を与えられる様、コアワクチン接種の必要性を検討中だったからです。生まれ たばかりの子犬にワクチンを打つことだけは避けたかったので、成犬である絵菜に抗体を所持して貰う方を選択しました。

しかし「小型犬でも超大型犬でも打たれるワクチンの量は同じである」という別の記事
(抗体検査とワクチネーションガイドラインの 話)に あるように、小型犬である逞や絵菜に正式な量(1ml)のワクチンを接種させることには、副作用を考慮した際にかなり抵抗がありましたので、コアワクチン を希釈したホメオパシーにあるノゾーズの様なものを作り接種させ獲得免疫を調べてみる実験を行った訳です。(注意:これは正式なワクチン接種ではないた め、掛り付け獣医に要請することは困難であり接種証明などを受理することはできません。)

さて、家の三頭の抗体検査の結果です。
アデノウイルス・パルボウイルス・ジステンパーウイルスの順に数字です。
名前の後に過去ワクチン歴を書いてます。

逞(体重8kg)と絵菜(体重7kg)にはワクチンの10分の1(0.1ml)
最汝美(体重40kg) には半分(0.5ml)を希釈しました。

絵菜(6週齢にパルボのみ)    :(4・4・4)
逞    (ワクチン接種ゼロ)    :(1・6・4)
最汝美(6週齢に三種混合)    :(1・6・2)

オランダでは0~1は陰性、2は弱陽性、3以上が陽性で6は高陽性という判断です。0~1が出た場合にワクチン接種のアドバイスが出ますが、数回にわたる ワクチン接種を行なっても抗体検査で陰性である犬達も意外に多く「ノンレスポンダー」と見なされます。ノンレスポンダーは獲得免疫を成立できないと言われ ますが、最近は自然免疫機構にも何らかの記憶のようなものがあることが認められており、自然免疫機構が十分に強ければ、ワクチンで得た獲得免疫でなくても 自然免疫機構のみでウイルスを退治できるので、ノンレスポンダー達も自然免疫により守られている可能性が高いことになります。

さて我が家の三頭の抗体検査の結果ですが、ワクチン接種ゼロの逞に関しては、パルボウイルスが最高点だったのに驚きましたが、将来母になる絵菜も全ての項 目がスコア4と出たことで希釈接種であっても獲得免疫の成立であるといえます。最汝美と逞のアデノウイルスが1ですが、ノンレスポンダーかもしれません し、自然免疫力もありますし、オランダでの感染率はゼロに近いので再接種はしてません。

あと付け加えたいのが、獣医がワクチン打つ際の大事なルールは「疾病を抱える個体にはワクチン接種を行なってはいけない」ということです。ワクチン使用説 明書上にもはっきりと「1か月齢以上の健康な犬(猫)(妊娠犬を除く)の皮下又は筋肉内に注射する。」と記されてます。「健康な」というのは全く問題を抱 えてない体であり、外耳炎やアレルギー持ち、下痢や嘔吐など、どこかに少しでも何らかの症状がある場合はワクチン接種を控えるべきだというのが獣医である 主人の意見です。

ワクチンは数個の病原体やその毒素を弱毒化(コアワクチンなど)または不活化した製剤(狂犬病やレプトスピラなど)であり、言わば強制的に感染させ免疫を 誘導するものです。弱毒化したとはいえ、ウイルスを体内へ注射するわけですから、その効果は生体側の反応に依存する部分が大きく、出る免疫反応には必然的 に個体差があり、出る副作用にも勿論差が出てきます。他の子は平気だから我が子も大丈夫と言う訳には行かないのが怖い部分です。

子犬でも母親からの移行抗体がある間は接種は必要ないですし、成犬も十分な抗体を所持している可能性が高いので、できれば接種前に抗体検査をお勧めしま す。

そういえば、日本では、8や9種類というワクチンを含む多成分製剤が多い様な気がしますが、ワクチネーションガイドラインにも「コアワクチンとノンコアワ クチンを両方含む多成分製剤しか入手できない国があることをVGGは認識しており、製造企業に対して、できる限りどこでも様々な単一成分のワクチンをすべ て使用できるような状況にするよう働きかけるつもりである。」とありましたが、オランダにはコアワクチンのみの製剤やパルボ単一成分、レプトスピラル単一 成分のワクチンが存在します。

私達も使っております犬用ワクチチェックを導入している日本の動物病院が探せるマップがありましたので、お近くの病院で扱われているのかご覧ください。導 入している病院であれば、過剰ワクチン接種を懸念されている傾向にあると言えるのではないかと思います。 
https: //vaccicheck.jp/wp-vacc2/googlemap/

動物たちの健康を考えワクチンの過剰接種には注意が必要だということ をお伝えしたかったです。


関 連する記事
>抗体検査とワクチネーションガイドラインの 話
>ワクチン の量への疑問
>家の三頭の抗体検査実験と移行抗体の話


PDF:犬と猫のワクチネーションガイドライン - WSAVA



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