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肝臓の解毒作用


腸 内細菌のバランスが崩れることでダメージを受けるのは免疫系だけではありません。腸内悪玉菌が産生する毒素や、体に入る化学薬品などの有害物質を解毒し体 外に排泄できる様にする役割を持っている肝臓も被害を受けます。
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肝臓の解毒には第一段階と第二段階があります。その目的は有害な脂溶性化学物質や体内で発生した毒素を無毒化し、腎臓から排出できるように水溶性にするこ とであり、濾過された毒素を胆汁と混ぜ合わせ便として排出してもらうことです。そのため肝臓では様々な化学反応が行なわれています。

ここで重要なのは、第 一段階で無毒化されたものが速やかに第二段階で抱合され体外へと排泄されなくてはならないということです。この二段階のバランスが崩れると毒素が体内に停 滞する状態を招きます。殆どの化学薬品で見受けられる脂溶性の性質が肝臓の解毒作用を妨げ体内に蓄積し体に害を与えます。
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肝臓の解毒作用にはアミノ酸、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質(グルタチオン、ビタミンC、E)に加え、代謝酵素が必要にです。犬猫のような短い消化器官 を持った肉食動物は、消化率の高い肉類や魚介類といった食材からこの基本的な栄養素を補う事がベストです。

解毒作用で非常に重要なグルタチオンは体内で合 成されますが、その量も年齢と共に減少しますので、グルタチオンやその生成材料となるものを食事から摂取するようにします。肉系で言えば牛・豚・鶏のレ バーに多く含まれますので肝臓にとっては同物同治にもなりますね!ヨーグルトの上澄みのホエイプロテインは前駆体です。家の猫も上澄み舐めます。
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また人の体内では合成できないビタミンCも、犬や猫、ウサギといった動物は体内に取り入れたタンパク質から作った糖分で合成できる機能を持っています。し かし薬やワクチン等による化学物質の侵入が増加することで必要量は増えており、合成できるから常に足りているとは言い難いという意見もあります。

しかし、 解毒に最も多く作用するのはグルタチオンであり、ビタミンCは一度フリーラジカルを解毒すると働きを失いますが、グルタチオンはビタミンCの働きを復活さ せることができますので、前駆体のタンパク質を摂取している子達であれば、抗酸化物質が不足することはないと言えます。勿論、解毒される毒素の量にもより ますが!タンパク源は量より品質が重要ですので。
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さらに肝臓解毒作用に大きく関わっているのが「代謝酵素」です。これは化学物質の毒性を減少させるため化学変化を起こさせる大事なものです。酵素の構造は 20種類のアミノ酸がベースになっており、酵素もタンパク質の一種だと言えます。この酵素を正常に働かせるめに必要な栄養素がビタミンやミネラルです。

酵 素の働きを助けるという意味で「補因子」と言われ、特にこれが有機(ビタミン)物なら補酵素(コエンザイム)と呼ばれてます。酵素の構造を簡単に言えば、 ビタミンやミネラルの周りにタンパク質が巻き付いたものだと想像ください。
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体内で作れる酵素の数は決まっており、その分を解毒作用で必要な代謝酵素に回すために消化酵素を生の食材や(酵素は熱に弱く50℃前後で死滅)発酵食品か ら摂取する事が重要だと言います。しかしこの食物酵素が胃酸で分解され、最終的には酵素としての形では吸収されないので生で与える意味がないという人もい ます。私達の診療所で膵臓機能低下の子に生の膵臓を与えると症状が改善するケースが殆どである事実を考慮すると、臨床の現場では「意味がない」とは言えな い部分があります。

食物酵素の中には胃酸でも溶けにくいタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)と似た構造を持ち、胃を通過できるものもあるそうです。それも 腸で最終的には分解されますが、酵素の医学実験の中にも、消化されて機能を失うはずの酵素の摂取によって体の状態が変化することが度々報告されています。

体に何らかの形で影響を及ぼすことは確かですがハッキリしたことはまだ分かってません。酵素は魚の刺身や生肉などに多く含まれてます。消化に問題がない子 には刻んだ野菜もありますね。うちの北斗が食べる野菜は牧場の草と南瓜だけですが、馬の糞にも酵素は入ってますし、使っているプロバイオティックスにも 入ってます。
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この様に、肝臓の機能をキープさせるためには様々な要因が揃う必要があります。肝臓が必要とする栄養素の量や品質、それを消化吸収する胃腸力と健康な腸内 環境、その栄養素を代謝する肝臓の力と解毒力、老廃物を流す胆汁の生成や分泌力、肝臓の再生能力と代償能力、肝臓から受け取った代謝物を排泄する腸や腎臓 の力、etc…
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多くの機能をこなす動物達の肝臓に負担を掛けない為に飼い主として出来る基本的な事は、十分な栄養素をその子の消化吸収力に合った食事で与えることであ り、その消化吸収力をアップさせる工夫をしてあげる事です。また勿論、外部から与える有害物質を減らし毒素を体内に蓄積しない工夫をする事だと思います。

動物達の身体の機能には個人差がありますので、その子の化学薬品摂取歴や今までの食餌の内容、生食切り替え後の食材の選択、加工の有無、フードの場合はそ の品質、トッピングの有無や健康食品の内容やその量、また運動量などに左右されます。

「沈黙の臓器」と言われる肝臓が根を上げる前に、動物達の身体の小さ い変化に目を配り、必要であれば定期的に肝臓を修復し、良いものだからと全て与えるのではなく、その子に体に合ったものを厳選することが重要になってきま す。

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