バイオメンター動物病院
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グリーントライプって実は何?


グ リーントライプのお話です。オランダでいうTripeは、反芻動物の第1胃と第2胃のことを指します。日本語では第1~3胃までを言い、英語になると、第 4胃も含めてトライプと言っている国もあるようです。厳密に言うと第1胃から3胃は胃ではなく食道が進化したものです。
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犬達の健康品と言われるGreenTripeは、内容物を大まかに取り除いた、洗浄されていない第1胃(+第2胃)というのが本来の意味です。ここには、 反芻動物が食した餌などは胃壁の柔 毛に少量残っている程度です。このグリーンというのは、緑色をしているからではなく、漂白洗浄されてない胃袋という意味合いから来たものです。
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第1胃には、植物性繊維を発酵・分解し、栄養素として利用できる形に変える微生物が共生しており、胃袋の80%の規模を占める大きさですので、犬の食餌の 原材料として一般的に使われる部分です。加熱処理されていない未洗浄の胃袋を生で与えることで期待する効果を得られます。第3胃が使われないのは、胃の壁 自体に微生物や酵素は存在せず、第1、第2胃から送られた内容物にそれらが残っているだけですので、内容物であるなどを与えることを目的にしていないため です。
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日本でいう「グリーントライプ」の中には、反芻動物の胃の中の植物性の内容物を指している事が多いようです。第4胃やその内容物を使ってるという所もあり ましたが、この第4胃は真胃ですので消化液が分泌され内容物は液体状をしており、胃自体も微生物も少なく胃液の関係で犬の餌としては適さない、というのは オランダでオーガニック飼育の肉をベースにした完全栄養生食の製造会社の社長でもあり、人間用の肉の卸販売会社も経営する専門家の方の意見でした。
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またこの内容物のみのグリーントライプを与えると下痢になる子も多いようですが、胃袋の内容物ですので、その発酵もしくは未発酵の植物性繊維 に過剰反応する子もいるのは不思議ではないです。その内容物がどの動物の物で、いつ捕らえられたのか?という事も、ご使用になる前にしっかり確認する必要 があります。野生の動物であれば、自然の中での放牧生活で得た内容物ですので犬達への安全性は高いでしょうが、季節により食べた物が変わり、木の実や木の 皮、落ち葉などが混ざる時期の内容物は犬には適さないと思いますので、買う時期に気をつける必要があります。
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また家畜である牛などは、抗生剤、駆虫薬、穀物飼料などの影響もあり、また肥育期の牛に使用許可がある飼料添加物であり、犬達にアレルギー反応を起こさせ るモネンシンナトリウムを食している可能性もありますのでかなり要注意です。
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内容物のグリーントライプで体調を崩す子が居るのであれば、本来の意味のグリーントライプである、動物性たんぱく質や脂肪分、ナトリウムやカリウム、マグ ネシウム豊富な中身が取り除かれた(漂白されてない)胃袋自体を与える方が無難だと思います。できればこれもオーガニック牧草飼育のみの反芻動物、も しくは野生動物から得たものがベターです。羊の場合も餌の確認をしておいた方がいいです。穀物飼料を食べている恐れがあると、犬がその内容物にアレルギー 反応を起こすこともあります。
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グリーントライプの宣伝に「狼は獲物の胃や腸中身ごと丸ごと食べる」とありますが、私達が得た情報は違います。狼は、獲物を捕らえ主に心臓、肺、肝臓など の内臓をまず食べます。大きな反芻胃/腸は、その中身を揺らして取り去り胃壁や腸壁などを食べますが、胃腸管内に含まれる植物には興味を示さないというの が多くの狼の研究で得られた事実です。
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柔毛に残っている発酵された草から得る短鎖脂肪酸が犬達の体に良いという点に関しても、肉食動物が動物性たんぱく質繊維から短鎖脂肪酸を作れる事がオラン ダの大学の研究でわかってますので、敢えて無理をしてまで内容物のみの”グリーントライプ”を与える必要はないと思います。また食物繊維を過剰摂取させる と、 腸ぜん動運動が過剰になり大腸に留まる時間が短縮されることから、水分吸収が不十分となり、軟便や下痢の原因にもなりかねますので、敏感な子への”内容物 グリーントライプ”は控えた方が良いと言うのが私達の意見です。
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未洗浄の胃袋をグリーントライプとして売っているショップはあるのだろうかと思い探してみましたら数件ありましたので、手に入れるのはそれ程難しくないよ うです。もちろん、内容物を与えるとワンちゃんの調子が良いという方は、少量であれば気にせずそのまま続けられて良いと思いますし、生食してるが胃袋は与 えないという方が居ても別に良いと思います。その子に合ったものであれば問題ないからです。



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